【後編】ペルチェ素子を使った"IoT冷蔵庫"を作った
趣味の日本酒のストックが自宅に大量にあるため、日中の暑い時間だけ起動させる"IoT冷蔵庫"を作っています。前編はこちらから。
冷蔵庫を作ったけど、本当に冷えるのか
冷蔵庫の冷却性能を確かめるため、作った冷蔵庫の中と外にSwitchbotのIoT温度湿度計を入れ、冷蔵庫の外と中の温度湿度を記録します。このIoT温度湿度計を使うことで、冷蔵庫を開け閉めして冷気を逃すようなことなく、スマホで温度湿度を測定•記録することができます。
これがマイ冷蔵庫です(笑)!
暖房の効いた部屋、気温21℃でスタートしました。
30分後は?
外が20.1℃に対し、冷蔵庫内は16.2℃となりました。
60分後は?
外が20℃に対し、冷蔵庫内は16.1℃のまま…。
グラフからも、16.1℃でサチっているようなので、冷却性能は-4℃という結果となりました。
冬の時期の外気の最高気温が15℃だとして、4℃冷えると11℃ですから、これでギリギリ充分な場合もあると考えられますが、やはり日本酒の保存を考えると心許ないので、もっと冷却性能をあげるために改善をすることにしました。
改善①:内側の冷却ファンを増設
ペルチェ素子キットの冷却側のヒートシンクは触ると冷え冷えになっているにも関わらず、なかなか冷蔵庫内が冷えてないような感じがしました。ですのでもっと冷蔵庫内の空気の循環を良くするため、ファンを増設してみました。
分かりますかね…?
USB給電型の扇風機をぶっ刺して、冷蔵庫内でファンが回るように組み立てます。
改善②:あらゆるすき間をグルーガンで埋める
冷蔵庫を開けっぱなしにすると冷却効果がなくなるのと同様で、手作り冷蔵庫にもすきま風が通ると台無しになるので、ひたすらすき間がなくなるよう、グルーガンで埋めていきます。
透明なので分かりにくいですが、すき間は埋まりました。
このグルーは合成樹脂製なので、断熱性能をより高めるためには発泡ウレタン(スプレー)を使った方が良かったかな?とも思いましたが、どうなのでしょうか(気にしすぎかも)。
冷却キットもファンもIoT化
ここからは冷蔵庫をIoT化していきます。
ペルチェ素子の冷却キットはプラグタイプで、プラグをコンセントに挿すだけで起動しますので、「スマートプラグ」で中継するだけで、IoT冷却キットになるのです。ついでに、Alexa対応のスマートプラグを使えば、「Alexa、冷蔵庫を起動して」と命令し、暖かい日のお昼間だけ冷蔵庫を起動することができますよ!
一方、ファン(扇風機)をIoT化するためには少し工夫が必要です。なにせ、「IoT扇風機」で市販されているものはシャオミ(小米、Xiaomi)製品くらいしか存在しません。さらに、これは冷蔵庫内に入れるなんてことは想定されていません(当たり前だ、笑)
わたしは、過去にESP32ベースの開発ボードであるobniz(オブナイズ)を使って扇風機をIoT化したことがあるので、再度この方法で実現することにしました。詳細は下記の記事にありますが、USBの変換アダプタを繋げて少々コードを書くだけなので簡単です。
さらに、サーボモータと組み合わせれば、扇風機自体を回転させてもっと冷蔵庫内の空気を循環させることもできます(今回は実施せず)。
IoT冷蔵庫、完成しました。
改善後の冷蔵庫の冷却効果は?
再度約40分程度冷蔵庫を動作させたところ、外気が18.9℃だったのに対し、冷蔵庫内は11.1℃!
改善後は、約-8℃の冷却効果を出すことができました(興奮)!!
暖房の効いた部屋でも、日本酒を冷蔵できるようになりました!
まとめと今後
2つの改善を加えた結果、冷蔵庫の冷却性能を-8℃まで高めることができました!欲を言えば9℃くらいまでは冷やしたいので、さらに改善を重ねたいと思います。
今回、使いたい時だけ起動させて使う"IoT冷蔵庫"を作ってみて冷静に思ったのは、例えば数時間のみ冷却をする目的だと、発泡スチロールに大きめの保冷剤を入れれば十分。そして、その方法は電力を消費しないという点でエコなんですよね。ですので、このIoT冷蔵庫もさらなる省エネを検討したいと考えています。具体的には、IoT冷蔵庫を太陽光発電で使えるように改良し、キャンプなどアウトドアでも使えるようにしたいと思います。