記憶の扉が開く時
10数年前に仕事で担当していた懐かしい地域へ、先日足を踏み入れた。 当時受け持っていた人の家の前に着いた時、その人の名前が急に頭の中に閃いた。頭の中に降りてきたというか・・・
以前思い出そうとして名前が思い出せなかった、いろいろな思い出のある 90代後半の一人暮らしの方だ。家はもうなく、ガランとした空き地がただ広がっていた。
それよりもっと前の記憶、他市で働いていた時にも同様なことがあった。 20年位前に担当していた地域へ5年位前に通りがかった時に、担当していた人の名前が急に頭の中に降りてきた。その市の担当は20年位前に終了し、5年位前にまた担当となるまで行くこともなく、土地勘はすっかり薄れていた。しかも通ったことのない道から自転車で通り抜けたので、初めて走る地域だと思い通り過ぎたのだ。
その時はその方の名前が何故降りてきたのかよくわからず、地図を広げ記憶を整理し直してみたら、その方の家の横を通った時に名前を思い出したとわかった。しかもその方は元住職でお寺の横を通り過ぎた時に、なのだ! こちらは、自分で認識していないのに思い出した事例だ。
昔の知り合いに会った時も、その顔を見た瞬間、忘れていたはずのその人の名前が突然降りてくることはよくある。よく知らない人でもだ。
先日の日曜日、40~50代位の女性にあるイベントで会った。 彼女は20年位前の研修で、尊敬している講師が褒めていた講師の部下だった。あの講師が「彼女は若いけれど人の話によく耳を傾けられる人」と褒めていたので人柄が偲ばれる人だったが、話したことはなく10年以上見かけてもいない。同業者なので、研修などで顔を合わせることはあったかもしれない。
日曜日もその女性の名前が急に降りてきて、ひとしきり質問などした後に、「失礼ですがもしかしたら○○さん?」と尋ねたらそうだった。
彼女とは全然接点もないので、何故思い出せたのかよくわからない。 ただ、顔を見たら名前を思い出したのだ。
そしてその翌々日の火曜日、ある研修会場に事務連絡で研修終了頃に向かったら、日曜日に会った○○さんの上司だった私の尊敬する方が、講師を務めていた。残念ながら、役目をこなさなくてはならなくて、その方には声をかけることができなかった。残念! 会うのはもう10数年ぶりぐらいだろうか。
そういう不思議なシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)もよくある。
私の記憶は、カメラのシャッターが切り取ったように映像で脳の中に保存されているように思う。昔から人の名前や顔はすぐに覚えられ、高校の時はクラス替えした直後、45人位いるクラスメイトの顔と名前は、二日もあれば全員覚えらえた。
丸暗記が得意な息子もそうだ。一度教科書などを見ると切り取ったように覚えられると言っていた。私よりもはるかに優秀!
出勤時の朝、電車の中で初めて見た人に、帰りの電車でもまた会ったなどということもよくある。朝会った人だと認識できるのだ。
友人たちに話すと、「そんなことは自分にはないよ」と言われる。
知らず知らずに人間観察をし、脳の中にシャッターを切り取った映像が残っているのだろう。色やイメージが残っているので思い出せる気がする。
この脳のメカニズム?わかる方がいたら教えてください。視床下部が発達してる?
記憶って不思議・・・でも悲しいかな、その力はもう薄れつつある。
薄れ行く記憶の中で、思い出せるのも幸せ💓なことですね。
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