同じ親に育てられたACきょうだいは、同士だった
こんにちは。
内観アートで自分を幸せにする専門家/七井美樹です。
2023年以降、ACからの回復への取り組みを続けてきて、今年は「家族というラスボス」と向き合う年になるんだなと、うっすら感じていました。
お正月に実家に集まった時、仕事で来なかった弟に「ちゃんと会って話そう」と思い、先日、私の自宅に呼び寄せました。
これは、その時の話です。
1.弟と私、そして家族との関係
弟はこれまでに、本当にいろいろな問題を抱えてきたし、引き起こしてきました。
これらの問題は詳しくは書けませんが、健康問題、金銭問題、人に騙される…などです。
こうした弟の問題に対して、私たち家族(父・母・私)は、「弟の意思が弱いせい」と考えてきました。
だからいつも、弟に「しっかりしろ」と叱咤してきたのです。
ところが、私は自分がACだと自覚してから、この弟の抱えてきた問題の根本には「家族の問題」があるということがわかってきました。
この「見え方の変化」は自分でも驚くほどで、見る角度が違うとこんなにも見える世界が変わるのか、と感じています。
弟は、私たち家族にさまざまな問題を起こすことで、「家庭内に問題があるよ!」と知らせていたのだと、今はわかります。
私はカウンセラーに相談するようになってから、子供時代のことをたくさん思い出すようになりました。
弟の思い出も、その一つです。
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弟とは5歳離れていて、子供の頃はとてもとても、かわいらしい男の子でした。
弟がまだ2,3歳の頃、ちゃんとしゃべれなくて、子供らしい言い間違いが多かった時期のこと。
弟はいつも、「お姉ちゃん、だいっき(大好き)!」と言っていました。
私はその様子がとてもかわいらしく感じると同時に、とても憎らしくもあって。
「だいっき!(大好き)」と言ってくれる存在がいることが、とても嬉しかった。それなのに、「それって本当?」というひねくれた気持ちが、どうしても芽生えてしまう。
私は次第に、「だいっき!」という弟に対し、辛く当たるようになりました。
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このやりとりを思い出すたびに、私は号泣してしまう。
天邪鬼な意地悪をしてしまった、小さな弟に申し訳なくて。
すごく性格の悪いお姉ちゃんだったことに。
こんなにひねくれてしまった、小さな自分に対して。
これを書いている今も、号泣している。
この記憶には、いつまでも消えることのない罪悪感がついてまわります。
まずは、このことを謝らなくてはいけない。
と決心していたのでした。
2.はじめて心の底から詫びた
弟を自宅に呼んで、私がこの2年間に取り組んできたこと、気づいたことを話しました。
・アートセラピーで自分を癒す過程で、だいぶ癒されたこと。アートセラピー講師の資格を取ったこと。
・自分を癒す過程で、最後の最後に引っかかっている「家族」の問題に気づき、解消しなくてはいけないことに気づいたこと。
・今現在、カウンセリングを受けながら、AC当事者として将来、支援する仕事をしていくために学んでいること。
私の話を「うん、うん」と聞いていた弟は、「そっか。やっぱりうちって、ほかの家とはちょっと違っていたよね」と言いました。
うん。中学生くらいになって、友達の話す家の話に驚いたよね。
うちって、ちょっと厳しすぎると思ったよね。
私たち、褒められたことあったっけ?
1度もないよね。
認められたことが、ないよね。
いつも否定と反対ばかりされていたよね。
そして、私はあなたに意地悪ばかりしてしまった。
本当にごめんね。
あんなかわいい弟に、なぜひどい意地悪をしたのかな。
今さらだけど、謝らなきゃいけないって思ったんだ。
私たちは、しみじみと、本当にしみじみと、こんなことを語り合いました。
きょうだいで、はじめてこんなふうに話すことができたような気がします。
それは、同じ環境で、同じ親から、同じ経験をした者同士だからこそ、わかりあえることでした。
これまでの辛い経験に共感し、互いをねぎらい合うという空気感に包まれていました。
「私たち、本当によくがんばったよね」と。
3.生まれてから思春期までに積み重ねてきた我慢は身体症状として現れる
そして、私は続けてこう言いました。
いままであなたが抱えてきたこと、いろんな問題、そして身体のこと。そのすべては、あなたのせいじゃなかった。
今まで、「お前が悪い」と言われてきたし、私もそう思っていた。
だけど、いろいろ学んでわかった。
あなたのせいじゃない。
私たちの「育てられ方」のせいだったんだよ。
弟は、自己免疫疾患の病を抱えています。
結婚して落ち着いた生活をしている今は、病気も落ち着いているといいます。
自己免疫疾患は、自分の細胞を自分で攻撃してしまうことで発症します。
弟の場合、長期間におよぶストレスが影響していると思わずにはいられません。
私はこの本を読んで、自己免疫疾患とACは深く関わっているケースがあることを肌で感じています。
(自己免疫疾患の患者が必ずしもACであると言っているわけではありません)
弟は、「ストレスが病気の原因、ってこと?」と聞きました。
私が「そうだよ」と答えると、「あぁ、なるほど」という表情をしました。
4.芯の優しさ
1時間ほど、弟といろいろなことを話し感じたのは、弟は、芯の部分がとても優しい、ということでした。
まぁ、親戚とか見てても、あの中で育ってきたんだったら、親たちもいろいろあったんだろうね。
昭和的な価値観の中で、自分自身も同じように育ってきたんだろうし。
仕方ない部分もあったとは思う。
姉ちゃんも、誰にも頼れなくて、しっかりしなきゃいけないとずっと頑張ってきて、大変だったよね。
俺は結婚なんてできないと思っていたから、今はこうして結婚して、病気も落ち着いていて、よかったと思っているよ。
でも、実家に顔出すのは年に1度、俺だけになると思うよ。
姉ちゃんも、それでいいと思うよ。
こんなふうに語れる弟が、とても大人に思えました。
私はとても反抗心と反骨心が強くて、親にも反発ばかりしてきたし、今でもまだ怒りがお腹の底にあります。
お腹の底に怒りをため込んだまま、それをスルーして、大人になってからも「いい娘」を演じてきたから、私の中の内なる子供「インナーチャイルド」はまだ、怒って叫んでます。
アダルトチルドレンの概念を弟に伝えたことで、弟がこれまでのことを「自分のせいじゃなかったんだ」と思えるかもしれないと思うと、私の心の荷が、少し軽くなるような気がしています。
正直、いまやっと普通に暮らしている弟に話すのは、おせっかいなんじゃないか。自己満足なんじゃないか。とも思いました。
でも話してみて、「私と弟は、同じ辛さを乗り越えてきた同士だったんだな」と感じました。
帰り際、「じゃあね、ありがとう!」と笑う弟を見送りながら、
「私の心の中がまた一つ、片付いた」
とほっとしている自分がいました。
半世紀を迎えようとしている自分の人生を、私は今、一つひとつ、片づけていっている、という気持ちです。
自分で自分を癒すパステルを使った内観アート「ヒーリングアート」についてはアメブロに書いています。
https://ameblo.jp/miroku-hearingart/