「お金よりご飯」路上の子供の切実な願い
年を取るごとに「一期一会って大切」って、
本当に深く感じる今日この頃…。
みなさんは、 「また機会があるときに」とか 「いつか恩返しできるときに」って、
なんとなく先送りにしてしまうこと、ありませんか?
今日は、わたしが海外を旅した時に、一期一会の機会を逃してすっごく後悔しているお話しします。
それは、フィリピンの都市部に住んでいた時の出来事です。
夕暮れ時に、ショッピングモールの前を歩いていると、
幼い兄弟がわたしに声をかけてきました。
6歳くらいのお姉ちゃんと4歳くらいの弟は、ほうきを手に持って、
「これ買い取ってー」って言うんです。
この頃のわたしは、路上で困っている人に会った時は、日本円で100円程度なんですけど、お渡ししようって決めていました。
それで、
「ほうきはいらないけど、少しだけど、お小遣いをあげるね」って、
お姉ちゃんと弟、それぞれに100円くらいずつ渡したんです。
そうしたら、弟が、小さな声で「僕...ご飯がいい...」って。
その辺りには、路地裏に入れば地元の人が使う食堂があって、100円くらいでも一食は食べられるんですけど、
わたしたちがいたのは、ファストフード店が並ぶ大通り。
そこでは一食500円くらいするんです。
日本人の感覚からすれば、全然出してあげてもいい金額なんですけどね...。
海外で「もっとちょうだい」みたいなことを言われたことがなかったので、
わたしはこの時、躊躇してしまったんです。
そうしたら、お姉ちゃんが「そんなこと言っちゃだめ」って弟を諭すように何かを言って、
わたしにお礼を言うと、弟の手を引いて去っていきました。
そのあとのことです。
わたしが食事を済ませて帰ろうとしていた時。
もうその頃には、すっかり辺りが暗くなり始めていました。
ショッピングモールから離れた薄暗い歩道を歩いてたら、 ふと、人だかりが目に入ったんです。
見てみると、10人くらいの子供たちが集まってるんです。
最初は、子供たちがお母さんを取り囲んでるのかなーって思ったんです。
でも、近づいていくうちに、 「あれ?さっきの兄弟もいる...」って気づいて。
そして、その横を通り過ぎようとした時、 わたしは、ハッとしました。
お母さんかと思った中年の女性は、 実は、子供たちを使って物乞いをさせる組織の人で、 子供たちから次々とお金を集めてたんです。
その時、やっと分かったんですよね。
男の子が「ご飯がいい」って言ってたのは、決して贅沢なものが欲しかったわけじゃなかった。
お金だと必ず取り上げられちゃうけど、 ご飯ならその場で二人で食べられたんです。
もう、いつ、この出来事を思い出しても、後悔で胸が締め付けられるんです。
あの時、もしわたしが、彼の小さな願いを聞いてあげていれば...、って。
この経験が教えてくれたこと。
「また今度」って、わたしたちがよく使う言葉。
でも、人との出会いって、本当に一期一会なんですよね。
その日その時、
目の前にいる人との出会いは、二度と巡ってこないかもしれない。
その瞬間にしかできないことって、 実はたくさんあるんだって。
今は、直感が「何かできることがあるかも」ってささやいてくれたら、
できるだけその声に従うようにしています。
たとえそれが、小さな親切でも…ね。