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オーガニック給食の日を作る!杉並の高校生の挑戦

可愛い高校生たちが、メキメキ成長する数ヶ月間に立ち合わせてもらいました。
文化学園大学杉並中学校・高等学校(文杉)という、東京都杉並区の高校生たちと一緒に、給食に有機食材を出す日を作るというプロジェクトを一緒にやらせてもらいました。

元々は、文杉には、高校生たちの課外活動として、STEAM教育という枠組があって、そこのプロジェクトの1つとして、「食べるOrganicチーム」が立ち上がっていました。未来の農業を考えることをテーマに、木更津のクルックフィールズを訪問したり、色々勉強していたのですが、これからの活動どうしようかと悩んでいたところ、担当の染谷先生が、知り合いの本田恵久さんに相談したことが、このプロジェクトのきっかけでした。

本田恵久さんは、NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん代表で、フランスでの経験を元に日本にオーガニック給食を広める研修会などをしています。
恵久さんからの提案もあり、「文杉の学校給食でオーガニック給食の日をやってみよう!」ということになりました。もちろん、文杉では初めての試みです。と言っても、給食は中学生までしかないので、高校生たちは普段は食べていないのですが。

せっかくやるなら、農水省でオーガニック給食を促進するための補助金があるので、事業を活用しながら、もっと社会に発信していけるような、意義が大きいものにしていきたいよね、という話もあり。
2023年秋、「食べるOrganic協議会」が立ち上がって、プロジェクトが本格始動しました。
協議会には、高校生と先生と卒業生のメンター、恵久さん、そして、流通業者の日本販売農業協同団体連合会(日販連さん)と、調理委託を受けている一冨士フードサービス株式会社(一冨士さん)にも入ってもらいました。
私は、恵久さんに声をかけてもらって、共にコーディネーター的な役割もしつつ、元農水省職員だし、ということもあって農水省の補助金申請などを会計周りを行うことに。

よし、じゃあ、自分たちの給食に使う食材を作ってくれる有機農家さんに会いに行こう!ということで、農家さん訪問始まり。

JAやさと有機栽培部会長の田中さん

まず訪れたのは、JAやさと@茨城県石岡市。
有機のネギと大根を提供してくれるのは、田中宏昌さん。元は車のエンジンを作っていたらしいですが、32歳の時にやさとに来て、今では有機栽培部会長。わかりやすい言葉でたくさん教えてくれました。

同じくやさとの岩瀬直孝さん。有機米を提供いただきます。
「食は病気の始まり。食をおろそかにすると病気になる。食で病気は治せる」と強く語っておられました。

JAやさとの皆さんと

JAやさとでは、組合長はじめ多くの方にたくさんご協力いただき、有機JAS精米施設も見せていただきました。なんて素敵なJA!

どろんこ村のキャベツ畑の中で

次は、キャベツを提供してくれる、どろんこ村@愛知県田原市です。

どろんこ村の小笠原さんと渡部さん


小笠原弘さんと渡部千美江さんご夫妻は、命を食べること、命を還すことについて、絵本で優しく語っていただきました。今の日本人の平均的な暮らしを世界中の人がすると、地球は2.9個分必要だ、地球1個分の暮らしをしよう、と熱い思いを伝えてくれました。

田中製粉の田中さん。自慢の機械の前で

次に訪れたのは田中製粉@福岡県八女市。
クッキングパパにも登場する、素敵な製粉業者さん。昭和20年代の機械を使って、小ロットで品質が良い国産小麦粉を作っています。

アグリーンハートの佐藤さんのお話はオンラインで

青森県黒石市の農家さんからは、オンラインでお話を聞かせてもらいました。
株式会社アグリーンハートの佐藤拓郎さん(通称たくろん)には、醤油・味噌に使う有機大豆を提供いただきます。
プラネタリーバウンダリーのこと、体の細胞のこと、たくさん語っていただきました。
食材を買うということは、自分の体のパーツを買うことだ、と捉えてほしい、とも言っていました。

さかもとふるーつ坂本さん

そして、最後は、有機みかん農家のさかもとふるーつ@熊本県玉名市。
雲仙・普賢岳を見下ろす広大で素敵すぎるロケーション。元甲子園球児の坂本侑平さんは、みかんの持ち方もボールみたい笑。「誰よりも圃場に出てる」と体育会の熱血さを感じる仕事ぶりでした。

と、ここまで怒涛の勢いで農家を回ってきて、最後の訪問は2024年1月8日。
次の日の1月9日は始業式。そこで、高校生5人は、給食を食べる中学生3学年に向けて、有機給食の日についてプレゼンすることになってたのですが、そのプレゼン内容がなかなか決まらない。
中学生に何を伝えたらいいのか、何と言ったら伝わるのか。リーダー乃々子ちゃんはじめ、チームメンバーは、ずーっと頭を悩ませていました。
8日の熊本のホテルの夜も、プレゼンの構成、基本メッセージが定まらず、大人たちはヤキモキ。ヤキモキしながらも熊本でウィスキーを飲んでいる大人たちをよそに、高校生たちは必死に寝ずにプレゼンを作り込んでいました。もはや合宿。

そして迎えたプレゼンの日(1月9日)。

中学生を前にプレゼンをする高校生5人のチーム

もうこれは、実際の様子を動画で見てもらいたいです!
(下のリンクから飛んで25分くらいから)

「中学生の皆さんに伝えたいことがある。」
「私たちの体は食べたものでできています!」

有機農業の意味、有機食品を選択肢の1つとして選んでほしい、文杉でオーガニック給食の日をやる!
真っ直ぐ誠実に語る高校生たちの姿、感動でした。

そして迎えたオーガニック給食の日(1月25日)。

実際に提供された給食

訪問した農家の方々の米や野菜が、調理員さんたちの手によって、美味しい給食にしてもらいました。

中学生たちには、生産者さんたちのメッセージ動画を見ながら食べてもらいました。
「美味しい!」「甘い!」

亀田明美准教授(郡山女子大学)がアンケート結果を元に作成


給食にぎゅっと詰まったいろんな人の思いが、中学生たちに響いているなと感じました。

良い笑顔!


高校生たちも、中学生の教室の後ろで特別に一緒にいただきます!

この日は、東京新聞さんに取材してもらって、記事にしていただきました。

亀田明美准教授(郡山女子大学)による文杉でのアンケート調査結果より

ちなみに、亀田明美先生にとっていただいた文杉での事後のアンケート調査では、「今後も学校給食に、有機農産物を取り入れて欲しいと思いますか」という質問に対して、「とてもそう思う」と「そう思う」の回答が、合わせて93%ありました。

文杉では、またオーガニック給食の日が続いていく予定です。

高校生って、ほんの数日でこんなにメキメキと成長するものなんですね。
色々ヤキモキしてたことけど、そばでその成長を見ることができて嬉しかった! 
最初は「有機栽培」と「慣行栽培」の違いも微妙な理解だった子たちが、5軒の農家さんたちの真摯な話を直接聞く中で、理解を深めていきました。

生きること、食べること、自分の体は食べたものでできていること。
それを自然の中で大事に作ってくれる人がいて、丁寧に料理してくれる人がいて、毎日の食があること。
「農」と「食」を体感して、伝えてくれた。

教育プログラムとしてのオーガニック給食の日、もっと色んな学校で広がると良いなと思いました。
染谷先生、あっぱれ!

文杉の方々はじめ、恵久さんにも、中塚さん(日販連)にも、一冨士さんにも、マイファーム桐畑さんにも、農水省も、関係者皆さんに感謝感謝です。補助金申請関係は発狂しそうなほど大変だったけど、やれて良かったです。

カメラマンの岡部智雄さんが素敵な動画を撮影・編集してくれたので、是非1.5倍速でいいから全部見てください!


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