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過去の1場面物語~ある人の独白~
私は……間違ったのだろう。
そう思う。
此処は何時でも薄暗く湿っている。
手元を照らすライトが唯一の光だ。
暖かな陽の光を見たのは何時だったか。
私がそれを見る事はもうないのだろう。
それが私の背負った罪なのだから。
滑らかな背中に手を当てると
体温らしい体温を感じる。
それにホッと胸を撫で下ろしながら
私は直し続ける。
何故、こんな事になってしまったのか。
私はこうなると知っていたのではないだろうか。
知っていたはずなのに目を瞑り、明るい未来だけを盲信した。
それは、愚かな想いだった。けれど、あの時は本当に自分達が描く全てを手に入れられると信じていた。
昔の思い出と、今の状況を考えたり思ったりすると目眩がした。
それでも私の手は止まることなく 動き続けた。
最後の作業を終えようとしていたその時、
私の前にある滑らかな背中が小さく声をかけてきた。
「終わりそう?」
声には確かに生気があった。
私はその事にそっと安心しながら
「もう少し」
と短く答えた。
背中は先程までと同じように静かになった。
薄暗く湿った広々とした洞窟に
カチャカチャとした音だけが響いていた。
私は…間違ったのだろう。
けれど、きっと「これ」は間違いではないはずだ。
私には無理だとしても、未来があるという希望は
確かに温かくあるのだから。
今に騒がしくなるさ。
そう思いながら私は最後の作業を終えた。
この独白は過去。
次の独白は未来。
もう1つはこちら↓
私の1場面物語の中では珍しくシリーズものだったりします。
長編書くのホント向かない。
いい加減、砂鯨も書こう。
誰も読まなくてもいい。
私の願いが物語にはある。
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