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思いつき1場面物語
これは、思いつきのまま語られる何処かのお話。
あれは、そう、だいぶ前。
私達は宇宙の透ける空の下を柔らかな草を踏みながら歩いた。
同じ形の仲間は一人もいなかったけれど、皆で仲良く過ごしていた。
『きっとこの星も、もう終わるよ』
と、仲間の一人が伝えてくる。
『そうだね』
私は静かに同意して、空を見上げた。
次々にやってくる星の欠片。
赤々と尾を引く流星群。
柔らかな草の海の冷たさとは真逆の熱が
ゴウゴウと音をたてて通り過ぎていく。
『みんな、離れ離れ?』
一番体の小さな仲間が、私の手をそっと握ってくる。ぷるぷるとした体表はとても心地よい。
私は、優しく握り返す。本当はずっとこうして、みんなと手を繋いで、いたかった。
『そうだね。何時までもは無いんだよ』
そう応えた。それが、逃れようのない運命だったから。嘘をついても仕方がなかったから。本当の事をそのまま伝えた。
『少しずつ分け合おう』
一番年を取った仲間がみんなを輪にした。
皆それぞれ、繋いだ。
点は線に、線は円になった。
『大丈夫。広い宇宙の中でも、この宇宙の仲だから。これは別れではない。旅立ちだよ。またいつか、同じ宇宙の欠片として会おう。またいつか…』
みんな、わかっていた。わかっているから、誰も何もそれ以上は伝え合わなかった。
鳥の声で目が覚める。どうやら、眠ってしまったみたいだ。
柔らかな草の海から見上げた空は青かった。
見慣れているはずの、雲の浮かぶ空を見て、何故か無性に寂しくなった。
「?なんだ…」
溢れる涙のわけがわからず、とりあえず誰かに見られる前に拭った。真っ昼間から、人目につく場所で泣くなんて、恥ずかしすぎる。一生懸命、目を擦っていると、隣から気配がした。
「どうしたの?」
と声が聞こえて、手のひらに熱を感じる。一瞬、何かを思い出しかけて、ハッと横を見ると少し眠そうな顔の君がいた。たぶん、同じように寝ていたのだろう。
「?」
何故か言葉が出なくて、君を見る。不思議そうな顔をした君と目があった。
「あ…」
その瞬間、思い出しかけていた何かは砂のように崩れ去った。そして、二度と戻らない気がした。とてつもない、喪失感だった。不思議と涙は出なかった。
「大丈夫?」
君の顔をもう一度見ると、こちらを不安そうに見ている。
「だっ…大丈夫。ごめん、寝ぼけてた。夢…みてたのかな?なんか、ぼーっとしちゃって!」
あははと笑って、何かを誤魔化した。何を誤魔化したのかは、自分でもわからなかった。ただ、誤魔化して笑わないと、また涙がわけもなく溢れる気がした。
君は、やれやれという顔でため息をついて微笑む。その顔に、少しだけ安心した。
「お腹減ったから、何か食べ行こう」
君がそういうので、お腹が空いた気がしてきた。我ながら単純。でも、確かにお腹は空いていそうだ。だって、お腹が鳴ったもの。
「そうだね。何食べようかなー」
同意して、空を見上げた。何時もの青空で、とても綺麗で、心地よかった。さっき感じた寂しさも感じなかった。
やっぱり、寝ぼけていたんだな。と思った。
橋の上は今日も渋滞。川は太陽の光でキラキラと輝いている。散歩しているお爺さん、下校中の高校生達。そして、自転車を押して歩く君。
何気ない今日も後半日だ。
「明日はどうする?」
「もう、明日の話するの?」
「だって!あっという間に今日は終わるよ?」
「そうだけどさぁ~…」
君と明日の予定を立てて、来るはずの明日を待つ今日は、当たり前の毎日なのに、何故か凄く大切な気がした。
______________________1場面物語『そら』
思いつき1場面物語をお読みいただき有難う御座いました!
どうもこんばんは!koedananafusiです。
たまに、思いついてお話を書きます。noteではこれが初かな。
思いついたままに書いているので、自分でもよくわからんことになったりします。
でも、浮かんだことって大切な気がするから。
こんな時もあるんだなーということで、普通の記事だったり、こんなんだったり、色々ですが、また遊びに来てくれたら嬉しいです!
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