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流れ星を物語にしようとしていたあの頃

題名は(仮)流れ星の国 2013年ころに書いたやつ

――夜空を流れる『流れ星』

願い事を三回唱えると叶うと言われたりしている―――



そんな父さんの話しに
目をキラキラさせて初めてきちんと流星を眺めたのが四年前。

それから月日は流れて

「せいたっ!!」

僕は小学校六年生になった。
呼び止められて玄関で止まる。

なんだよ、うるさいなーの顔を作り振り返ると
母ちゃんが仁王立ちで立っていた。

さすが倉田家の仁王さまだ。見慣れていても恐い。

「あんたねー、宿題はっ!?それにこれから夕飯なんだけど!?」

やっぱりそうきたか!

僕は仁王さまに見えないようにニヤリと笑う。
僕だって伊達に小学校六年生をやっているわけではない。

「母ちゃんに僕、言ってなかったけ?」

「なにを!?」

『母さんは忘れっぽい人だよ。』父さんはそう言ってよく笑う。

「僕の今日の宿題さ、星の観察なんだよ?ほら、前に話したじゃん。」

『嘘は盛大につけ』とコレを言ったのが僕の爺ちゃん。婆ちゃんには、孫に変なこと教えるなってよく怒られている。

「そう…だったけ?」

仁王さまが 悩み出したら僕の勝ち。
後は『とにかく家の外へ出る!!』と大先輩達には教わった。

「夕飯は、帰ったら食べる!!そこまで遅くならない!!じゃっ!!行ってきまーす!!」

話しながら履いていた靴は軽やかに玄関を飛び出す。
閉まる直前に母ちゃんが

「しまった!!やられた!?」

と叫ぶのが聞こえた。
どうやら忘れてくれたのは一瞬だったみたいだ。

『これは帰ったら大目玉だ。』

そう思うと なんだか恐くて なのに面白くて
僕は笑いながら家の裏手にある小高い丘に登った。

丘の上は空気が澄み
星空が近い場所だった。
僕は其処で星空を眺めるのが趣味だ。友達の大輝にはジジクサイ趣味だと言われた。

けれど、流れ星もたまに流れる。僕にとっては素敵な丘で趣味だった。

「よしっ。」

丘の上には木製の簡易ベンチが一つだけある。
何時もその上に寝転び星をみる。
前に芝に寝て、体中が痒くなってからはずっと星空観察の定位置になっている。

「今日こそ三回!!三回唱える!!」

僕には願い事がある。
小学校六年生にもなってお星様にお願いなんて
ちょっぴりダサい気もするけど…
これは多分 お星様にしか叶えられない願い事だ。

「あっ!!」

僕は張り切って息を吸い込む。
このところ一週間くらいずっと早口言葉の練習をしてきた。
瞳の端に煌めく光を追いながら
僕は息と共に願い事を吐き出した。

「流れ星消えないで流れ星消えないで流れ星消えないでっ!!」


流れ星に願い事をするのって、私の中で反則なんだよね。流れ星は星屑の最期だから。
でも、流れ星に「消えないで」って願う子の物語を書きたかった。

流れ星そのものを想う願いの話。

そして、この願いはある意味叶うし、ある意味叶わない。そういうストーリー。結末まで考えてあった。そして、私はそれを今も覚えている。
私が書くなら、結末はソレでしょってなる。

流れ星からの視点で詩を書いたこともある。
流れ星が自己犠牲精神なら、こうかな?的な。

明けない夜がないように、終わらない出会いもないけれど、その間キラキラと流れる光に胸をドキドキワクワクさせていたいでしょ。


あなたが大切な誰かと綺麗っていって、私は燃え尽きたとして、それは幸福なことでもあるでしょう?


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koedananafusi
サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。

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