「私はちゃんと考えてきたよ、大人すごろく」NHKドラマ「恋せぬふたり」視聴感想~「わからないならわからないままで、自分の中でゆっくり向き合って行けばいい」~
タイトルの趣旨のセリフでああそうかと思いました。主人公の妹のセリフです。
入学して就職して結婚して子供産んで・・・。「大人すごろく」を確実に進めることに最大限の時間と労力を注いできた人は、そうでない人を見ると腹が立つんだろうなと思いました。常識知らずで怠けてる感じがするんでしょうか。
好みの連続テレビドラマに出会えたときの喜びと言ったら!とても言葉に表せません。
今ドはまりしているNHKドラマ「恋せぬふたり」について書きます。
「日本のドラマって、必ず恋愛することが良いということを描かないとドラマにならないんですかね?」
アロマンティック・アセクシュアルという言葉を私はこのドラマで初めて知りました。
NHKドラマの「よるドラ」枠の作品は気に入ったテーマのものは観るようにしています。いいドラマ作るなといつも思っています。今回もやってくれましたね!さすがの一言です。
どうしたら女が一人で生きていけるか、をずっと考えて私は生きてきました(小学校低学年のころには既に心は決まっていました)。
ある時、家族や職場の同僚(先輩)から「結婚しろ」と頻繁に言われるようになりました。全方位から圧力をかけられている感覚がありました。
私としては、結婚しないで生きていける方法を模索する私を応援してほしかったので驚きました。また、私の意向を尊重してもらえないことを残念に思いました。
結婚しないと人間失格なのか?結婚しないで生きていくことは許されないのか?絶望的な思いをした記憶があります。
このドラマの主人公の気持ちはもっと辛いと思います。
「1人で生きていくのが楽しい人」な私は「同居は無理」
私はアロマアセクではないと思っています。しかし、ドラマの中で主人公が参加したイベントの対象者である「1人で生きていくのが楽しい人」に含まれるような気がしています。
恋愛はしたいけど生活は1人がいいです。
すなわち、主人公サイドの人間(Minority)であると言えるでしょう!!
このドラマとWebsiteを見て、「1人で生きていくのが楽しい」もMinority属性のうちの一つであることが認識できて、なんだかほっとしました。
男性中心社会における女性というMinority属性だけでは説明できない「みんなが当たり前にできることがなぜ私にはできない?」という疑問を解くカギになります。
自分はいったい何者なのか?の整理が一歩進んだ感覚でしょうか。
私は部屋の中に誰かがずっといることに耐えられません。自分の部屋で1人で過ごしたいと思ってしまいます。
レストランで会話しながらの食事は楽しいと思います。ですが部屋では一人でくつろぎたいと思うタイプです。
必然的に私は旅行はいつも一人で行くことになります。2人部屋で過ごしているであろう人々と出会います(朝食のときなど)。
「あの人たち、こんなに狭い空間に2人で辛くないんだろうか」と、食事を終えて部屋に戻って一息つくと、いつも思います。スイートルーム等、複数の部屋がある高額な特別室に宿泊しない限り、同室で過ごすことになるわけじゃないですか。
二人旅の人たちは、一人で朝食をとる私を見て「あの人、この部屋に一人で寂しくないのかね」って思われるかもしれないです。
でも、彼らが普通で、そう思う人がMajorityですよね。
正直なところ、部屋・行動・移動は別、食事だけ一緒の二人旅ができる相手がいたら理想です!
が、今のところおりません!
恋愛抜きで家族になれる相手が見つかったこのドラマの主人公二人には、幸せになってもらいたいと心から思います。
「恋愛することによって起きる感情の変化は作品に大きく影響することもあると思いますが、必ずしも経験しないといい作品にならないわけではありません。」
私は恋愛ドラマが本当につまらなく感じます。小説や映画も含めてです。
交際や結婚の現実、異性の本性・本音を熟知すると恋愛できなくなりませんか。
僕の身の回りの世話をしてくれて、僕の子供を生んで育ててくれて、僕の両親の面倒を見てくれて、僕を笑顔で癒してくれる、無料で!だから僕は仕事と趣味に全力投球できる。
結局全部自分のためかよ!みたいな感じです。
上記は女性の私が男性に対して思うことです。
男性も女性の本音を知って嫌になることがあり得ると思います。
結局金かよ!といった感じでしょうか。
恋愛はすばらしい、恋愛をするべきだという考え方とは距離を置きたい
セクシャリティとして恋愛がわからないこのドラマの主人公たちとは事情が少し違うかもしれません。
しかし、恋愛はすばらしい、恋愛をするべきだという考え方とは距離を置きたいと思ってしまいます。
振り向いてもらえない相手に恋愛感情を抱くことはしんどいですし、愛せない誰かから想われるのも迷惑です。
例え誰かと想い合えたとしても、その喜びは一瞬で消えてしまいます。
交際や結婚といった関係の継続は、相手を優先して片方が犠牲になる(趣味/キャリアをあきらめる)ことで始めて成り立つと思います。
なにか成し遂げたいことがあるとき、恋愛感情は邪魔になります(感情が揺さぶられて集中できない)
恋愛で得られるものもあると思います。
しかし犠牲になるものも少なくないと考えています。
恋愛とは?LOVE~a strong feeling of affection and sexual attraction for someone.~
恋愛の定義を考えたときに思い出すのは三浦しをんさんの小説「舟を編む」の登場人物のセリフです。
「舟を編む」は、出版社の辞書編集部に勤務する会社員(男性)と、日本料理を極めようと板前の修行に励む女性の、恋愛と仕事を描いた小説です。2012年、本屋大賞を受賞しています。
(お恥ずかしながら)セクシャリティに関するリテラシーが不十分だった私は、これを読んだときハッとさせられたのを覚えています。
「恋せぬふたり」を見て初めて手元にある電子辞書で確認しました。やはり恋愛の対象は異性を原則として説明されています。
Oxford英英辞典(2005年版)は「for someone」になっています。対象を異性に限定していません。
おわりに~「わからないならわからないままで、自分の中でゆっくり向き合って行けばいい」
NHK「よるドラ」枠の作品で救われている人は少なくないのではないでしょうか。
冒頭でも書きましたが、好みの連続テレビドラマに出会えたときの喜びと言ったら!とても言葉に表せません。
私も「自分はいったい何者なのか」の理解をすすめることができました。すばらしい作品をありがとうございます。
しかし、・・・・月額受信料があるにもかかわらずオンデマンドの料金を別で取るのは、視聴者の足元を見過ぎではないでしょうか。本題と(大幅に)ずれますが、ちょっと思ってしまいました。
長文お読みくださりありがとうございました。
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