歴史小説「Two of Us」第3章J‐16
~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J-16 ~ Find Out A Way & A Faith ~
この細川玉造屋敷そのものは、新しい方だ。
だがそこには確かに、何十年も以前から存在するような古井戸が、腰掛出来る程度の高さの石垣囲いで覆われ、木造格子の上蓋が被せられていた。
坂本の城❓、、、京の町家❓越前の農村❓、、、勝竜寺城には在りはしなかった、、、もちろん宮津の居城にも。
こんな古井戸、どこで見かけたのか、、、❓
いえ。たしかに福知山城の庭に似たものが。。。
城郭の全てが防衛に備え、土師河と由良川と明智藪に三方を囲まれていた、あの福知山城。
嫁ぐ前まで思春期を過ごしたあの福知山城には、こんな古井戸がポツネンと砂利庭の端に存在したのだ。
鉄砲穴から覗いて眺めた福知山の城下町では、父上が亡くなり久しい今も、あい変わらずに豊穣を祝う『ふくちやま音頭』を舞っているのだろうか。。。御霊神社前の広小路で。
〈辻が花〉の裾を両手でたぐり、あなた珠子は縁側の段を降りた。苔むす石畳をゆっくり歩み、古井戸に近づいておそるおそる、覗き込む。
木造格子の囲い枠の上からでも、相当に深くまで掘られた井戸だと、あなた珠子はハッキリ確認できた。
福知山のお城をくまなく歩き廻って、あんなに何度も覗き込んだ、深い井戸。。。二十尺以上(約50メートル)もの深さで地下水を貯めていた事、分かっていたのに、何のために使われるのかは知らなかった。
生活用水ならば、天守の中にある井戸を利用していたし、井戸端ならこんな庭の真ん中や砂利庭に在っても意味がない。
そんなことは、釜戸に触れない姫様でもご存じやわ。。。
あなたはピン!と閃いて、屋敷内の書庫で資料を調べてみようと、思いついた。
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