歴史小説「Two of Us」第3章J‐24
~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J-24 ~An Invitation From A President~
細川家臣一色義清は、太閤豊臣秀吉の命で約束通りの日程の夕刻、玉造の細川越中守大坂屋敷へ参内した。
主細川忠興は、折しも「文禄の役」という戦で朝鮮半島にて奮闘中で、留守宅である。
今回はさほど待たされる事なく、陽射しが届くうちに、本殿の一段高い御簾の向こう敷に、お輿入れの付け下げ晴れ着かと見まがう四重の辻が花をまとったガラシャ珠子が、現れた。
次の間には2名の侍女。清原イト(マリア)とシモが、こちらもまた祝いの席かと見まがう、側室のような小袖を重ねて、はべってコウベを垂れていた。右大臣席には初老家臣、小笠原少斎が胡坐をかいて座していた。
大坂や堺の華やかな大店の娘は見慣れてはいるが、これほどまでに後光の差す品格を兼ね備えた女性達を、見た事が無い。
一色義清は気後れしながらも、口数少なく誘導し、馬番3名が待つ表門へと案内する。
通りがかりの店先の主さえ、眼を丸くする。
3台の華車で、さして距離も離れてはいない大阪城お堀の追手門の中へと、5名プラス3女性が消えて行った。
「河内屋はん!何や今の?
また新しい室殿3人も迎えはったんか❓太閤はんは」
谷町4丁目の和菓子屋の女将さんが、廻船問屋の店主に尋ねた。
「ちゃうちゃう!お忍びで謁見や」
「誰のや?」
「しぃーーーーーーーっ!声大きいすな。
あれは、ぜったい玉造の細川殿の政所様やで」
「えっ!!ほんま⁉」
「しぃーーー云うたやろ」
和菓子屋の女将がおもわず、両手で自分の口を塞いだ。
「とうとう、細川の珠子様まで、太閤殿のお手付きに成るんか。。。」
「うっそやぁ。あの方ものごっつうヤキモチ焼きの旦那様に、気ィ遣こうて気ィ遣こうて生きてはるらしいで?」
「、、、ほんまになぁ。。。
けど、ご時勢の権力者には、太刀打ちでけへんのやろなぁ。。。
そやけど、ほんま。えげつないな。旦那の細川殿が海の向こうでえらい戦してはる時に」
「どっちがえげつないの❔太閤はん?珠子様?」
「アホかお前さん。珠子様がいそいそ餌食に成りに行くわけ有らへんやろ!
どんだけぇ~~?な別嬪さんやのに、ずぅーーっとずぅーーっと太閤殿のお誘いを拒んではってんやぞ?」
「そやろな。。。あんだけエエ男の旦那様やもん」
「そっちかい」
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