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歴史小説「Two of Us」第3章 J-7

割引あり

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"


J‐7 ~Shelter@水戸野~

 家屋の一番南側、畳敷きの部屋にあなた珠子が入って来ると、細川与一郎忠興は起きていて、寝間着のままあぐらをかき、興之丸(のちの次男興秋)を抱き上げていた。

 

 つい最近、多少の傷を左腕に負ったため、昨夜はあまり興之丸を抱きかかえたがらなかったのだが。。。しかたがない、とあなたは考えていた。

 いつも先頭を切って敵陣に乗り込む役目の武将ながら、ずっと勝ち続けている。トップのお館様が足利、織田、羽柴と替わって行っても、負け戦になった事がない。殿(しんがり)を務めようが、本陣の奥に居ようが、負傷する時は、する。


 けれど今朝は、興之丸が何かの仕草をする度に、相好を崩して笑みを浮かべている。

 長男の忠隆はもう生意気盛りだが、子供らしい素直さでよくおしゃべりをしてくれると、宮津への帰城を楽しみにしている事を、昨夜も、とても嬉しそうに語っていた。

 興之丸も機嫌を直しているようだ。



丹波の山あいにある古民家@水戸野


 
 次男の興之丸は、家族が幸せな笑顔を向け合っていると、はしゃぐようにケタケタ笑い、何か諍いや眉間にしわを寄せるような空気を醸し出していると、悲しそうに泣きながらぐずる。

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