![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120588727/rectangle_large_type_2_f6358ef4f98a43cdb0aadf4c4b0ddf5d.jpeg?width=1200)
歴史小説「Two of Us」第3章J‐32
~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
(改訂版は日本語文のみ)
The Fatal Share for "Las abandonadas"
J-32
~ The other last nights of the ”Battle SEKIGAHARA ”~
細川忠興の妹、伊也が疑問を投げかける。
「わたくしも、宇喜多家を頼りにしても善いのでしょうか❔」
「はい。どうか千世様と共に行動くださいね❓
丹後は丹後で、戻ると大変です。田辺城には義父上の幽斎殿と従弟の興元殿がいますが、西側兵を多勢引き付けておく為、日々闘っておられるのです。一色殿も然り。
宇喜多家に嫁いだ豪姫さまは、とても包容力の深い方。敵味方かかわらず、女子供をかくまってくださるでしょう。付いて行きなされませ」
「かしこまりました」
「千世様。お願いいたします。
多羅と、つづく娘たち四男五男、侍女たちを導いてくださいませ」
「お役目おおせつかり、了承いたしました。
珠子様。あなた様が義母上で好かった。。。」
あなた珠子は、向かい合う席から立ち上がり、河北石見の傍に来た。
「河北殿、どうか二人の女性を指揮して、この玉造の門外へ導いてやってくださいませ。
無事に玉造から遠のいたなら、今度はこの屋敷の籠城に、しんがりをお務めください」
珠子は深く頭を下げた。
「珠子殿。お顔をお上げくだされ。
いつもは忠興殿と先陣切って切り込む身ですが、〈しんがり〉を務められるとは、まことに光栄至極。
珠子殿は、お逃げなさらぬのですか❔」
「私は、残ります。
夫忠興は出陣前にも現地からの書状にも、必ず告げております。
『細川家や珠子自身を辱める事態に遭うたれば、迷わず自害せよ。
決して敵方と判断されし者には、屈するでないぞえ!?』
と。私はこの忠興殿の信条を守り抜き、さらに自害はいたしませぬ。
小笠原殿に介錯を。最後の最後までお祈りを捧げる所存でござります」
「最後の最後まで、生き延びる事をあきらめなさいますな。。。」
「はい。かしこまりまして、ござります」
![](https://assets.st-note.com/img/1698908501553-qbgoITHVLl.jpg)
「オクとシモは、もうそれぞれに行先を決めております。皆が居なくなった後も、しばらく残った者の世話を。
その時が来たら、逃げ延びる手筈は、万全ですね❓」
「はい。奥方様。オクもわたくしも整いました」
「二人で、この細川屋敷のこと、私たち夫婦のこと、最後の日のこと、、、覚えているだけ、書き残してくださりませ。」
「有難きご使命、いただきました」
「イト、、、清原マリアは最後まで付き添います。私の後始末です。
以上で、皆さまお一人お一人にお伝え申しましたが、ご意見や腑に落ちぬこと、ござりませぬか❓」
誰も、異論はなかった。誰もあなた珠子の決意を翻せないこと、皆が知っていた。
静まり返り、身動きさえしない中、あなた珠子だけが皆の側で、〆の言葉を述べる。
「困難な事象に遭遇してこそ、人の徳はもっとよく磨かれ、美しい光彩を放つように成るのです。
皆さまそれぞれの道標を、目指してくださりませ」
ここから先は
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?