キッチン(読書感想文)
図書館から吉本ばななさんの本をたくさん借りて、勝手に吉本ばななさん月間を楽しんでいる。今日はキッチンを読んだ。
初版を見たら、私が中学2年生の時。多感な時期に触れた本は、読み始めてすぐにストーリーを思い出すことが出来た。ただ驚いたのは、感じ方が全く違ったということ。
思い返してみたら、初版から36年が経過している。私が最初に読んだのはこの本が話題になっていた頃だから、少なくとも30年以上が経過している。
あれから私は結婚をして子どもを生み育て、身近な人の死を幾つか経験した。まさかもう二度と会うことはないなんて想像もしなかった人がふっと消えてしまう出来事も何度かあった。
エッセイを読んでいたら吉本さんは人との境界線をしっかり引くことを大切に思っている方なのかな、という印象を受けた。
小説を読んでから、よりその境界線の意味を感じた。それから、自分が置かれた状況をちゃんと味わうこと。自分との対話、誰かとの繋がり、そんな中で私たちは生きている。いや、相手が生きていてもいなくても私たちは誰かと繋がり、それを支えにして一人で生きていくんだ、と思った。勝手な私の感想だけど、今の私にとってはとても大切なこと。
人との境もわからずにもがき苦しんでいた中学生の頃の私は、境界線なんて考えたことはなかった。
30年後の私はまた違う感想を持つのかも知れないな。一冊の本で自分の変化がよくわかる。だから本って面白い。
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