だから、あなたも生きぬいて(読書感想文)
温かい家庭で愛されて育った光代さん。中学生の時に酷いいじめに遭い、河原で割腹自殺を図る。命は取り留めたものの、その後も自分の居場所を求めては裏切られる日々。居場所を探す中で薬物をする若者グループに入ったり、16歳で暴力団の妻になったり、親に暴力を振るったりしてしまう。
22歳の時、ある人(幼い頃からよく知る父の友人)と再会し、生き直したいと強く思うようになる。恨みを晴らす方法はグレることではなく、努力をして良い生き方を手に入れること、その言葉に学歴のない自分には資格だ、と宅建や司法書士の勉強をして合格。最終的には司法試験に合格して、今は弁護士として活躍している。すべて実話。
思い出したくないであろう過去を無いものにしてはいけない、と背中の刺青は残したまま。今は孤独な環境にいる若い人たちの支援をしながら弁護士として活躍している。
読んでいる途中胸が苦しくなるような孤独や絶望を何度も感じた。著者は自分の過去を悔いているが、私はすべて大人の責任だったと思う。
いじめられてからは心から頼りに出来る大人がいなかった。親までもが、体裁を気にして完全に彼女の気持ちに寄り添うことはなかった。
でも私は親を責めれば良い、と思っているわけではなく、いくら親であっても私たちは人間。自分の保身を考えてしまうのは自然なことだ、と認めたいのだ。
それを認めた上で、敢えて子どもたちに寄り添う人間でいたい。「あなたは人間だから、保身を優先するかも知れない、体裁を整えたいかも知れない、でもね。一番苦しいのはこの子なんですよ。この子の頼りになるのは、あなたなんですよ」と常に自分に言い聞かせながら歩みたいと思うのだ。
親として講師として、今思えば誤った関わり方をしてきたのではないか、と過去を悔いると共に自分の弱さを認めながら、敢えて選ぶ道はもう誤りたくない。
彼女が22歳の時に再会して彼女を信じ励まし続けた大平浩三郎氏を、今後の自分のモデルとしたいと思った。