未成熟な母は、子供をアダルトチルドレンにしてしまう。
親子関係、とりわけ母子関係についてお話しさせて頂くことが多くあります。
生きづらさ、について考えるとき、辿れば余程のレアケースを除いては、母子関係に行き着くからです。
例として取り上げる母子関係は、支配的な母親や、過保護・過干渉な母親をピックアップしていますが、
母と子が十組いれば十通り、百組ならば百通りの母子関係があります。
記事内で挙げるのは、子供が生きづらさを抱えるに至る母子関係の、一つの典型例です。
生きづらさ、を創り出してしまう母子関係は、様々な現れ方をします。
いつも取り上げている支配的な母親も、表にそのまま現れることもあれば、
逆に子供の言う事を何でもきいてしまう母親、に見えることもあります。
あるいは、支配的な面と、支配される面の両方を持つ、複合型、もあります。
支配型、被支配型、複合型、とキレイに切り分けられる筈も無く、
重なり合って、やはり百通り、です。
心のことに、方程式はありませんが、母子関係の問題は、必ず親の心に行き着くことは、間違い無い、と思っています。
もっと言うなら親が、自分には価値が無い、という思い込みを持っている、ということ、だと思っています。
支配的な母親、過保護・過干渉な母親については、度々触れていますから、
傍目からは、子供の言う事を何でも、ハイハイと受け入れてしまう、優しいけれど頼り甲斐の無い母親、について考えたいと思います。
周りから見ると、子供がしっかりし過ぎていて、親を既に越えているかの様に見えるかも知れません。
本当に幼くして親を越える様な子もいるのだと思いますが、
お話しするのは、親の心の未熟さに起因する場合です。
その違いは、その親子とある程度、深く関わり合わないと、見えては来ない、と思っています。
親の心が未熟で、何でもハイハイと子供の言う事をきいている様に見える母親は、
ほぼ無意識に、そういう親子関係を創っています。
それがその母親が知る唯一のコミュニケーションの方法なのだと思います。
子供の情緒が成熟していて親を越えたのでは無く、
親が子供の下に潜り込んで、自分のコミュニケーションの方法に、子供を誘った、のだと思います。
家庭で虐待を受けた子供は、自分が虐待を受ける立ち場に立つ(立たされる)ことで、家庭を守った子です。
そんな子が学校生活でも、イジメの標的になってしまうことは、少なく無いと思っています。
家庭内でイジメられ、その役割を全うすることで生き抜いた子は、
集団の中で、無意識に自分からイジメられる様な立ち位置に納まることは少なく無い、と考えます。
その子は本当の優しさに触れたことが無く、
優しいクラスメートの優しい態度に触れると、居心地が悪く、どう反応して良いのか分かりません。
だから、優しい人を遠ざけ、イジメる人の下にもぐり込みます。
よく、イジメ問題を語る時に、
イジメられる方にもイジメられる理由がある、という意見を言う人に、
酷い、と批判が集まったりします。
勿論、イジメられる側に責任は一切ありません。
イジメる方が悪いですが、既に親子関係の中で、イジメられる、種、は撒かれている場合も少なく無い様に感じています。
何故なら、その子は尊重されたことが無いので、優しくされることを避けます。
その子は虐げられて生きたから、無意識にイジメられる無価値なポジションを、自ら、選びます。
その母親は、自ら子供が上、自分が下の親子関係を構築します。
自分が慣れ親しんだ親子関係を創り出します。
分類に疑問が無い訳ではありませんが、世に言う、アダルトチルドレンの六つの分類、
ヒーロー、スケープゴート、ロスト・ワン、ケアテイカー、ピエロ、イネイブラー、の、
ピエロに近い特徴なのだと考えますが、ピエロは親の顔色を伺い、家庭に重たい空気が漂わない様に、おどけます。
おどける、という中には、深刻、真剣な場面では、自分が責められるので、何事もハイハイと軽く軽く受け流すことも含まれます。
顔色を伺うのが親ではなく、我が子であれば、楽な相手です。
幼かった頃は、親の機嫌を損ねたら、ヒドい目に合いましたが、我が子ならその危険は無い、のです。
その母親は子供を下からコントロールし、責任の無い楽な立ち位置を確保します。
その煽りを受けるのは、子供の方で、年齢に不釣り合いな責任を負います。
傍目には、しっかりしています。
周囲からは、大人びている、と思われます。
しかし、本当は、本人も知らない訳ですが、ずっと背伸びをしています。
無理をしてつま先で立っています。
大人びているその子は、先程の分類のケアテイカー(世話役)に仕立て上げられます。
ケアテイカーとは、親の代わりに家事の一切を引き受けたり、弟や妹の面倒を見たりなど、自分のことを後回しにして世話をする状態ですが、
この子は、親が自分の下にもぐり込んだ為に、大人びた自分を演じて、自分の子供らしさを封印して、
未消化の幼児性、を秘めたアダルトチルドレンになります。
子供らしい感情を封印した為、その子は感情が動きづらくなり、それをリカバリーする為に、思考一辺倒になりがちです。
その為、必ずではありませんが、
成績優秀なのに、比喩表現が理解出来なかったり、文章の余白を読む様なことが苦手で、結果とんちんかんな理解に陥ったりするなど、一種独特な特徴が現れたりする事もあります。
支配的な母親は、子供を、尊重、することを知らず、所有、します。
現れ方は違っても、子供に従っている様に見える母親も、
子供を利用し、所有、しています。
子供らしい感情を捨てるしかない立ち場に追いやることは、心理的虐待なのです。
その子は、生まれた時から、その親子関係に、
呑まれて生き抜きました。
呑まれたことは避けようの無いこと、でした。
だから、どうか、
自分が生き抜いたこと、の尊さに、
気づいて欲しく思います。
読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。
伴走者ノゾム