【小説】巨大なヒルの妖怪
江戸時代末期、それはそれは巨大なヒルの妖怪が江戸を襲っていた。その大きさ、太さはまるで大木のようであった。そのことから、人々はキノヒル(木のヒル)と呼んでいた。
このヒル、人間の血は吸わないものの、酒蔵を見つけてはその中の酒を飲み尽くしてしまう。
町の侍らは、刀をひるがえし、ヒルを真っ二つにした。しかしこのヒル、真っ二つされてもくたばらず、それぞれが動き出した。それに一瞬ひるんだ侍たちだったが、次々と斬りかかる。
その結果、ヒルはどんどん増え、六匹のヒルになってしまった