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25年前の【火曜サスペンス劇場】の曲に涙した話。

「この曲懐かしいからちょっと聴いてみて!」

唐突に妻さんがスマホを差し出す。

「どんな曲??」

訝しげにワタシが答える。

スマホから流れてきた曲の
イントロを聴いた瞬間、

「あ!!!」

と、ここ1年分くらいの
大きな声がワタシの口から飛び出した。

その曲は、

ぼくが25年間探し続けていた曲だった。


25年後のきみへ。

結論から申し上げますが、

ワタシが25年間探し続けた曲は

髙橋真梨子さんの『ごめんね...』

という曲。

1996年から97年の【火曜サスペンス劇場】
通称【火サス】のエンディング曲として採用された曲です。


当時、母が毎週のように【火サス】を観ていました。専業主婦の母にとって、それが楽しみだったらしい。

4歳のワタシは、母の影響で【火サス】を毎週欠かさず観ていた。

今でも覚えている。

初めて【火サス】を観た後のエンディング。

髙橋真梨子さんの『ごめんね...』の
イントロが流れた瞬間、涙が頬を伝ったこと。

なぜ泣いたのか理由はもう忘れた。

ただただ、泣いたという記憶は残っている。

おそらく4歳ながらにして
「いい歌だなー。」と当時のワタシは感じたのかもしれない。

今思えば【火サス】を毎週観ていたのは、

犯人は誰だ??でもなく、事件の真相は??でもなく、崖の上で犯人の説得をする刑事が観たいわけでもなく、

ただ、エンディング曲の『ごめんね...』を聴きたかっただけなのかもしれない。

それくらい、当時のワタシはこの曲に熱中した。

今のようにインターネットやyoutubeなんてなかったから、

曲名も歌手名もわからない。

ただ、【火サス】を母と一緒に観れば
この曲が聴ける。

大好きな曲が聴ける。

初めて感動して泣いた曲が聴ける。

それがワタシの楽しみだった。

記憶の断片

大人になるにつれて、子どもの頃に経験した記憶や遊んだ記憶なんて、忘却の彼方だ。

あのとき、誰と遊んで誰と会話したか、なんてもう覚えていない。

ただ、覚えていることがひとつ。

母と一緒に観た【火サス】のエンディング曲。

あの曲だけは記憶にずっと残っている。

大人になっても、頭の片隅であの曲だけは当時と変わらず鳴り響いている。鮮明に。

歌手名も曲名も、歌詞すらもわからない。

幼い頃に聴いた曲だから、歌詞も曖昧。
たぶん、覚えている歌詞も全く違うもの。

インターネットで検索しようにも、どう検索していいのか分からない。

今思えば、[火サス エンディング曲]で検索すれば

歴代の曲がまとめられているので、しらみ潰しに全部聴く、といった方法もあっただろう。

結局、便利な世の中になっても、曲の正体は掴めぬままだった。


そして、先日。

妻が何気なく聴かせてくれた曲。

スマホから流れてきたのは

髙橋真梨子さんの『ごめんね...』

長い間繋げたかった、点と点が繋がった瞬間だった。

歌手名、曲名、歌詞。

今度は覚えておこう。

4歳のワタシが感動したんだから、

一体、当時どれだけの大人がこの曲で感動したのだろう。

そう思うと、身震いすらする。

おそらく、「感動する」ってそういうことだ。

なまけもののひとりごと


何気ないきっかけが、自分の人生をいい方向に導いてくれる。

人間万事塞翁が馬とはよく言ったもので。

きっと、そんな出来事の連続で人生は成り立っているのだろう。

25年越しの再会をもたらしてくれた妻さんに感謝です。

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