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短編小説

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#忘れられない恋物語

【小説】始まりの兆し、終わりのキッカケ

【小説】始まりの兆し、終わりのキッカケ

(約9,800字) 2023/12/26追記

「月が出てる」
 半歩先を歩くダイスケさんが白い息を吐きながらそう言った。12月26日の月曜日だった。
 道路に積もって凍った雪を踏む、わたしたちふたりの足音が、静かな住宅街に響いていた。綿をちぎってばらまいたような雪がふわふわと舞っている。
 ダイスケさんの視線を追いかけて東の空を見上げると、山吹色のほそい月が浮かんでいた。下弦の月だ。
 夜空が瞬

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【小説】その苦しみの欠片ひとつ

【小説】その苦しみの欠片ひとつ

(約3700字)

「どうしてさあ、」

太陽の方向から声が落ちてきたから、わたしは反射的に顔を上げ、眩しさに目を細めた。
声の主は、わたしの身長と同じくらいの高さの防波堤の上を、太陽を背負って歩いていた。

高校の授業が終わって、幼馴染のハルと、海沿いの道を一緒に帰っているときのことだった。

「ーーーーのかな?」

海のほうを向いたまま続きを喋ったハルの声が、風に連れ去られる。

「なに??」

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