そこには確かに火の鳥がいた
昨日ヤマドリを見た。
よく行くフィールドを散策していた時のこと。
その散策路の両脇には藪が広がっている場所がある。
いつものように鳥を探しながら歩いていた。
すると、右の藪から何やらガサガサと音がする。
最初は風で葉や枝が揺れているのかなと思った。
しかし、それにしては音が大き過ぎる。
何かが擦れるというより地を踏み締める音である。
そう、何かが歩いているような音だった。
目を凝らして音のする方を見回す。
しかし何の姿も見えない。
見えないけれど音は継続して聞こえてくる。
辺りに響く不穏な音。
段々と不安になってきた。
まさか動物?
イノシシでもいるのか?
それともクマなのか?
それらの動物だとしたらマズい。
対処方法がわからない。
不安は恐怖へと変わりつつあった。
いや、ちょっと待てよ。
鳥という可能性はないだろうか。
鳥だって飛んでいるばかりではない。
地を這う鳥だっている。
それなら何か珍しい鳥でもいるのではないだろうか。
恐怖は段々と好奇心に押されつつあった。
怖いが好奇心も捨て難かったので、
少し待って様子を見ることにした。
相変わらずガサガサ音は聞こえてくる。
音のする方をくまなく探す。
どこかに動くものはないか。
すると、藪の切れ目を一瞬何かが横切った気がした。
何か茶色いというかオレンジっぽいというか。
何らかの物体が右から左に動いた気がした。
この藪何かが絶対にいる。
その時点で確信した。
その物体が横切った辺りを根気よく注視した。
すると今度は何か縞模様のある棒が動いているのが見えた。
さらに、キジのような赤い顔が見えた気がした。
なるほど、ガサガサ音の正体はヤマドリなのか。
完全に好奇心が勝った。
勇気を出して少し藪を覗き込んでみる。
すると奥の方に鳥が。
茶色のような褐色のような体。
長い縞模様の尾。
赤い顔。
図鑑で見た記憶にあるヤマドリの姿である。
火の鳥のモデルになったとも言われるあの鳥。
ヤマドリが居たのは法面になっており
写真を撮ろうとした時には下へ滑空してしまった。
記録に残せなかったのは残念である。
しかし一目見れたのは大きい。
またリベンジしたいものである。