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娘と除夜の鐘

今年が終わり、来年が始まる。
除夜の鐘を聞きながら。


家の近くにお寺があるので、鐘の音がよく聞こえます。
大晦日になると蘇るのが、娘との思い出。


10年前のこの日、娘は風邪を引き辛そうでした。熱が少しあったけど食欲はありました。
家族みんなで楽しくて、おいしいものが沢山でてきて、大好きなイチゴをたらふく食べていた娘。

夜中に、激しく泣き出します。
顔が真っ青です。


抱っこして、水を飲ませようと洗面台に向かいました。


その時、除夜の鐘が「ゴーン!」と鳴りました。

ビクッとする娘。
そのまま、吐きました。

顔を前に向けたまま、大量のイチゴがリバースです。


美しく鳴り響く除夜の鐘と、娘のゲロ。


忘れられない思い出となりました。


そんな娘もスクスク育ち、ときどき僕のことを、う◯こを見るような目で見ます。
これも成長です。

それでも、「娘さんが将来この家から外に出ていく日がくると寂しいな」と言うと、少し照れて「そう?」と嬉しそうだったりします。


多感な時期です。
泣いたり怒ったり笑ったり、色々な思いもあるでしょう。親離れも大人になるうえで重要な過程です。

でも、甘えたくなったら甘えてください。
そして、きみのことをもう少しだけ見守らせてください。
大事な命を預からせてください。


いつかきみが旅立った後も、帰れる場所だけは作っておきたいと思っています。


僕たちの元へ来てくれて、ありがとう。




除夜の鐘が鳴る日の、大切な思い出。






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