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プロジェクトデザインAtoZ

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プロジェクトとは何か。立ち上げ方。拡げ方。チームの作り方。プロジェクトデザインのHOWTOに特化した内容です。(完結)
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記事一覧

00-「平成」という時代とファシリテーター、ワークショップデザイナーに至るまで

少々壮大だが「平成をふりかえる」ことから初めてみたい。  私は1980年生まれ、バブル崩壊から就職氷河期を10代で過ごした我々はロストジェネレーション(失われた世代)と言われる。なんとも失礼な話だな、と思いつつ、失われていったものが多い時代を確かに生きてきた。  では平成では何が消えたのかと言えば、まず「正解」が消えた。つぎに「つながり」が。そして「希望」が。消えたと表現すると、本当に身も蓋もないが、むしろ平成という時代はそれらを「どう創るか」に注力する時代だっただろう。

PJ01-プロジェクト型チームの危険性と心構え

答えのない時代故に、「正解は納得解をどう紡ぐか」と以前のnoteに書いたが、つまりそれは、社会がプロジェクト化している、ということを指す。従来の会社組織であれば、序列や役割が明快な体制や組織図があり、意志の流れや決裁者が位置づけられているが、個人個人に正解がある時代では、今まで以上に組織を強固にするか、プロジェクト型の組織に舵をきるかどちらかしかない。いわんや私は後者の方を選択しているのであるが、それはそれで多くの困難が伴う。 プロジェクトの良いところは「この指とまれ」形式

PJ02-コトの立ち上げ方、進め方

事例)「伊丹オトラク」「社のおにわ亭プロジェクト」 前回のnoteでは、プロジェクトの「目標設定」「合意形成」「一歩目」の難しさに対し、プレイヤー、プランナー、ファシリテーターの3つの役割を噛み合わせるIDCAサイクルと、プロジェクト型チームの活動指針について記述したが、「では、どんなコトから立ち上げていったらいい?」ということを述べていきたい。 ・すでにあること(やっていること)を活用。無理しない。 ・狙いの一石三鳥 ・小さく試し、イメージを共有する なんだ、こん

PJ03-プロジェクトが拡がるコツとチームづくりの一歩

多様な人が関わるプロジェクトにおける「コトの立ち上げ方、進め方」のコツとして ・すでにあること(やっていること)を活用。無理しない。 ・狙いの一石三鳥 ・小さく試し、イメージを共有する この3点をお伝えした前回の記事「コトの立ち上げ方、進め方」。 コトが立ち上がり、動き始め、ある程度こなれてきたらプロジェクトは「輪を広げ、どのように進めていくか」というフェーズ(拡がる期)に入る。 立ち上げ期ではワクワクした気持ちや関わるメンバーのテンションが高いことからスタートし

PJ04-プロジェクト型チームを作るコツと注意点

・楕円の法則(中心をふたつにする。協同体の関係をフラットにする) プロジェクトの立ち上げ期を経て、チームの内輪感が出ないよう外に開かれた形であったり活動する中で、いかに「仲間のつくり、見つけ、輪を拡げていくか」ということに言及した前回のコラム「プロジェクトが拡がるコツとチームづくりの一歩」。 面白い人に出会った時、その人の事情に応じて、参加の関わり方を提案できる、という状態が実現していけば、プラスのスパイラルが発揮され、プロジェクトは地域に根差していく。 しかし、プロジ

PJ05-ナナメの存在とプロセスデザインの話

プロジェクトが拡がり、関わる人が増えてくることによって生まれてくる「プロジェクトの組織化」。多様性を良しとしてきたプロジェクトにも関わらず、次第に序列を作り出そうとする流れが生まれる。もちろん、プロジェクトやチームが安定していく必要はあるが、仕組みや構造が先行し、硬直化することや内輪化する流れをうせぐためのコツとして「プロジェクトは中心を二つにする、中心を二つにしたチームをカタチ作る」ということを伝えてきた前回のコラム「プロジェクト型チームを作るコツと注意点」。 今回の

PJ06-ナナメの関係の作り方(従属関係のある中、進めていくプロジェクトの場合)

 行政と市民といったように「個人と組織」という関係性は、どうしても対立構造に陥りやすい。そこで前回はファシリテーターがナナメの存在として、いかに振る舞うか、どういう心構えで立つか、最小限に衝突を押さえながらどう進めるか、といったことを前回のコラムではお伝えした。  例として、あかし市民図書館内の「市民による夢の図書館プロジェクト」の立ち上がりとプロセスを紹介し、「図書館と市民」という対立構造になりがちな状況を極力回避し前向きに進めていったことをお伝えしたが、実はその裏側でこ

PJ07-ナナメの関係(日常のバグ編)

対立や従属の関係の間柄でプロジェクトを進めていく際、いかにナナメの存在が、その場を促進させたり、エンパワメントしていくのに有効か、というのを書いてきたわけだが、ナナメの存在が活きる関係として、最後は「単純な関係」に対しても言及したい。(今回は一人語りのようになってしまい、コラムとしては番外編的な位置付けになってしまった) そもそも単純な関係といえば、”出来上がっている”ということ。売る人と買う人といった日常あるどこにでもある関係だ。そこに少しのエラーやバグのような仕掛け

PJ08-プロジェクトがコミュニティに変わる「3層2軸の掛け算」

 プロジェクトやチームを立ち上げ、規模やネットワークを拡げていくことについて、今までのnoteでは書いてきたわけだが、木で言えば「”高さ(行動・企画)”や”枝葉(規模・ネットワーク)”をどう成長させていくか」と言うお話しだったわけで、改めて今回は”根”とも言える「チームのみならず予備軍や賛同者までどう巻き込んで(チーム)ビルディングしていくか」という部分を書いていきたい。「予備軍・賛同者まで」という範囲まで含めて(チーム)ビルディングを考えることはもはや「プロジェクト」という