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ボイトレ講座2017前期

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ボイストレーニングについて書きます。 内容は ・発声理論(アッポッジョ、声の闘争、歌手のフォルマントなど) ・発声法と練習方法 ・参考動画紹介 …などです。 よろしくお願いしま…
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2017年4月の記事一覧

支えのある声で歌うときは、胸を少し高めにして維持すると良いです。発声練習では肩を少し上げて練習してみると効果的だったりします。
「肩を上げると肩や首周りに力が入るから間違い」という情報は不正確です。肩を上げて歌う練習もやってみるといいです。

支えのある声は51と49の力が必要です。どちらかが負けることなく、ずっと闘争状態にすることが大切です。

アッポッジョのある声で歌うときは最少呼気による発声が良いです。呼気を最少にするものが声の闘争です。息を止めている、あるいは非常にゆっくり息を出している感覚が支えのある歌声には必要です。

発声メソッドに新たな発見はありません。すべて過去のメソッドや古い文献と同じ内容です。あるいは言い回しを変えただけです。

支えのある声で歌っている最中は時間が止まっている、あるいはゆっくり流れている感覚があるといいです。その際は、息の流れも停止あるいはゆっくり流れているといいです。幽体離脱しかかっている状態を保持すると良いです。自分自身を観察しているような他人事のイメージが良い声には必要です。

(続き)…ア母音の練習は口腔が開き過ぎて声が散るので良くないと思う。エ母音で声を集束させるコツをつかんでからア母音を練習した方が良い。
また、アッポッジョは狭い状態から広い状態を目指した方が良い。広げる発声が主流なら、その逆をやってみると良い発見がある。

発声の実力が分かる母音は「ウ」もしくは「イ」母音であり、コントロールが難しいのは「オ」もしくは「ア」母音。個人的にエ母音で練習しながら母音全体を鍛えていくといいと思う。エ母音による練習は、舌が奥に行かないこととイ母音のように前側に平板になりにくい点。ア母音の練習は…(続く)

ジラーレとかキューゾとかアペルトみたいな用語で説明するのはあまり好きではありません。日本語でいいと個人的に思います。言葉を知るよりも体感で分かることが重要です。専門用語を知っていると声もよくなった気持ちになる場合がありますが、発声は知識よりも体感であり、特に筋肉の記憶が大切です。

発声を良くするものは呼吸ではありません。呼吸が結果的にもたらす気圧が重要です。吸気や呼気そのものよりも、”吸気させるための伸縮”と”呼気のための伸縮”を同時に保つ必要があります。最近のレッスンではこの点を重視しています。「声は息ではない」という発想がとても大切です。

アッポッジョは「もたれかかる」「寄せる」「頼る」などの意味ですが、発声においては双方向からのアッポッジョが大事です。どちらかに偏らないことが大切であり、「人」よりも「△」のような対等の支え合いが必要です。

合唱のときに発声練習をすると自分の声が全体の声と混ざってよく分からなくなります。発声練習は基本的に一人で行うと良いです。自分の声を聴きながら行うことが大切です。

声を鍛えている最中は、”音楽(芸術)をしている”という感覚は無い方がいいです。肉体労働や軽作業のように黙々と鍛えるといいです。”自分をよく見せよう”とか”美しく歌おう”みたいな雑念を排除することが大切です。

高い声を出すときは息を止めているような感覚があると良いです。息を止めているような感覚、あるいは非常にゆっくりと声道内を空気が外に向かって移動している感覚が大切です。息を吐いている感覚はすでに出し過ぎている場合があります。

声は出さないようにしながら出すときに最も良く出ます。このときに声の闘争があります。この闘争は状態を維持する必要があり、どちらかの筋肉が勝ってしまうとバランスが崩れて声の支えが乱れます。アッポッジョの”もたれかかる感覚”は双方向から必要になります。