雑感80 雷の計算
今、大きな雷が立て続けに落ちている。「ああ、落ちたな」という程度ではなくて、かなり近いところに落ちているのがわかる。音が、心臓に悪い。
家の避雷針って、どこにあったっけ? いつもの雷くらいなら、自宅の避雷針なんて気にしないのだが、今日は気になってしまった。ちょっと気分が揺らいでいる。雷の音のせいだ。昨夜は雷鳴を聞きながら、リビングで寝落ちしたくせに。我ながら、全く軸のない人間だと思う。
子どものときから、雷が怖くなかった。ピカっと光ってから雷が落ちるまでの秒数を数え、何m先に落ちたか計算しているような子だった。方角までは頓着せずに適当だったので、今でも気象に興味がない。雷までの距離を測るだけの何が楽しいのか、自分でもわからない。説明できないけれど、計算してしまうのだ
今、窓辺で雷の光を感じた。つい、耳をすませて秒数を数える。2秒、680m。そして、雷の音の代わりに、途切れない雨の音が続く。
ああ、そうか。わたしは知っていたのだ。雷の光を感じたら、雷鳴は終わるのだと。だから、光と音から計算していたのかもしれない。祈りの言葉のように。