【第12回】転職に欠かせない「心構え」とは?
転職は、「一身上の緊急事態」を打破するための有効な手段です。しかし、その際に決して忘れてはならない大切な「心構え」があります。それは、「過去を振り返って比較しない」ということです。
転職に限らず、社内で違う部署に異動した時も同様ですが、職場環境が変わると、人間関係もゼロベースからの構築となります。
特に人間関係に関しては、以前にも増して、手に負えない状況が待っている可能性も否定できません。
「上司と合わなかったので転職したら、転職先の上司ともうまくいかない」ということも、起こり得ます。問題はその先です。
「せっかく転職したのに、これでは意味がない。むしろ前のほうがまだましだった」と考えるか、
「こういうこともあるさ。ここで新しいノウハウを身につけて、更にステップアップするぞ!」と考えるかで、天と地の差が生まれます。
当然ですが、後者の発想でいかないと、転職先で待ち受けているだろう難局に、打ち勝つことはできません。
世の中に絶対的に「いい会社」など存在しません。いい会社かどうかは、前の会社と比べて「いいか」「悪いか」だけのことです。
であれば、転職した更にその先に、もっと自分に合った会社や職場が待っているかもしれないのです。
「今度の転職を最後にしたい」とか「次の会社では、長く勤めて定年を迎えたい」という話は、本当によく耳にします。
その気持ちは、分からないでもありません。やっと過去のしがらみから解放されたと思ったら、また同じ試練が待ち受けている訳です。
ある程度年を重ねた方の、「次の会社を最後に、定年を」という本音は、切実な響きとなって伝わってきます。
しかし、このケースは絵に描いたたような「比較論の罠」にはまり「隣の会社は青い」症候群に陥ってしまっています。
人間の心は意外と弱いものです。弱気になると、つい昔のことを思い出しては、「あの頃はよかった……」と愚痴をこぼします。
誰しも過去を振り返ると、仕事かプライベートかは別にして、一度はつぶやいたことがあるのではないでしょうか。
転職先で感じることの大半は、しょせんは「比較論」です。過去に固執さえしなければ、比較論のトラップにはまることはないでしょう。
如何に理不尽な目に遭っても、決して後悔することなく、常に胸を張ってひたすら「前進」あるのみです。
次回につづく(毎週月曜日に投稿予定)
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)