【第17回】転職の基本は「現職」のままで
転職は、特別な事情がない限り「現職」のままで行うのが基本です。最大の理由は、ひとつ間違うと「次が決まらなくなる」からです。
転職に限らず「職に就く」活動は、試験とは違い、一定の基準をクリアしたら合格するというものではありません。
むしろ、不確定な要素が多分に含まれているので、運に左右されるリスクもつきまといます。
企業面接における、面接官との「相性」はその最たるものです。特に、面接官が直属の上司にあたる場合は、相性の「良し悪し」が決定的な要因となってしまいます(入社後のことを考えると当然ですが・・・)。
「競争が激しい」という理由もあります。相手が見えないのでピンとこないかもしれませんが、求人によっては応募者が殺到して、かなりの倍率になります。
更に、上位職のポジションになると「求人の数」自体が激減するので、応募の機会すら減ってしまいます。
面接時に説明を求められる「退職理由」も、離職済だと、かなり苦しくなります。
その理由に説得力や納得性がないと、悪い印象を与えるだけでなく、致命傷となってしまいます。
「収入」に関しても、問題が生じます。現職のままだと比較的順調に運ぶ条件交渉も、すでに離職済みだと足元を見られて、本来であれば得られるはずの年収が確保できなくなるケースも起こり得ます。
場合によっては、前職の年収を大幅に下回る可能性もあるので、転職は「現職のまま行う」が鉄則となります。
例外はあります。それは、このまま仕事を続けると「体を壊しかねない」状況にあって、あらゆる手を尽くしたが「どうにもならない」場合です。
このケースは、ある意味「非常事態」でもあります。「一旦会社を辞めてから、転職活動を行う」という選択肢も否定できません。
リストラ等の「会社都合」に至っては、完全な不可抗力です。必然的に「離職」を前提とした(または離職してからの)転職活動となってしまいます。
転職を決意するまでの過程では、様々な葛藤が心の中に生じます。しかも、本人にとっては「一大事」の連続です。
「一刻も早く退職して、次の会社へ」という気持ちが優先してしまうことも、よく理解できます。
されど、特殊なケースを除くと「転職は現職のままで」は、転職活動における基本中の基本であり、鉄則でもあります。
安易な気持ちで、不用意に会社を辞めてしまうことだけは、厳に慎まなければなりません。
次回につづく(毎週月曜日若しくは火曜日に投稿予定)
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)