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【第29回】転職した後も「次善の策」を怠ってはいけない

今さら指摘するまでもありませんが、世の中を取り巻く環境の急激な変化は、時に企業に多大なダメージを与えます。

バブルが崩壊した頃には「出社したら倒産の発表があった」という日系大企業や、「朝起きたら日本撤退していた」という外資系企業のニュースが話題となりました。

近年の例を見ても、リーマンショックやコロナ級の異変があると、世界中のあらゆる企業が大きな影響を受けます。

M&Aも、昨今は日常茶飯事となりました。自社が買収する側であればまだいいのですが、される側にいると心穏やかではありません。

外資系の場合、たとえ買収する側であっても、日本法人の規模が小さいと「される側」になってしまうこともあります。

いずれのケースも、個人のレベルでは対処のしようがありません。まさに「不可抗力」の領域です。

転職した会社でも、将来的に何が起こるか分かりません。入社してからでないと、分からないこともあります。

従って、不測の事態に対する「備え」が必要となります。そこで欠かせないのが、「社外人脈の構築」と「継続的な交流」です。

特に、年齢を重ねた後の緊急時に「最後の砦」となるのが、個人的に築き上げた「人的ネットワーク」です。

転職してしばらくすると、不思議なことに、外部にいる様々な人たちとの繋がりができるようになります。

オリジナルな人脈は、いざという時の助けになるだけでなく、自分にはない発想やモノの見方をも提供してくれます。

同じメンバーと仕事をしていると、知らず知らずのうちに固定概念にとらわれます。すると、偏った考え方に支配されても不思議ではありません。

社内業務を滞りなく、効率よく進めるためには、そのほうがかえって都合のいいことも、場合によってはあるでしょう。

余計なことは考えず、ひたすら自分の業務に集中したほうが「仕事もはかどり、業績にも貢献できる」と考えることもできます。

しかし、「複眼的な発想」や「柔軟な思考回路」は、自身の将来のためにも身につけるに越したことはありません。

社外で活躍する知人や友人に久しぶりに会うと、必ずと言っていいほど「新たな刺激」を受けます。社内では知る由もない、貴重な情報も入手できます。

いざという時、会社や組織が自分を守ってくれる保証はどこにもありません。たとえ如何に会社の業績に貢献し続けたとしても、です。

転職した後も社外ネットワークを通して「アンテナ」を張っておくことは、自分の身を守る、とても大切な「危機管理対策」でもあるのです。

         次回につづく(毎週月曜日に投稿予定)
 
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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中山てつや
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