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【第8回】「スカウトメールが届いたら転職できる」という勘違い

最近は転職を促す広告を、至る所で、頻繁に目にします。中でも特筆すべきは「ミドルクラス」や「エグゼクティブクラス」に向けた勧誘です。

その背景には、人材不足に悩む企業が急増する中で、幅広い世代の人材を確保しなければ「ビジネスが回らなくなっている」という現状があります。

それを受けて転職サイトや転職エージェントは、企業ニーズを満たすべく、あの手この手で転職に対する「ハードル」を下げようと躍起になっています。

ここで一旦、「転職エージェント」と「転職サイト」の概略及びその違いについて、簡単に整理してみましょう。

転職エージェントとは、コンサルタントが転職希望者と面談をして、経験や希望に沿う求人を紹介する「人材紹介会社」です。

そこでは、本人がどのような仕事をしてきたのか、次に希望する仕事は何なのか、などを確認します。

また、今後のキャリアに関しての相談にも応じます(適切な対応ができるかは、コンサルタント次第ですが……)。

転職エージェントから紹介を受けた求人に応募すると、転職先が決まるまでコンサルタントがサポートしてくれるのも、大きな特徴です。

次に転職サイトです。転職サイトの中には数多くの転職エージェントが網を張っていて、登録すると複数のエージェントから求人メールが届きます。

その後は、転職エージェントに登録した時と同じプロセスを踏みますが、エージェントの数が多いため、必然的に紹介を受ける数は多くなります。

また最近は、転職サイトから企業が「直接」興味のある人材をスカウトする仕組みも広がっています(「ダイレクト・スカウト」と呼ばれています)。

かねてより興味のあった会社から直接「お声がけ」を受けようものなら、「ヘッドハント」された気分にもなり、大いに舞い上がってしまいます。

その結果、その会社への転職が約束されたような「錯覚」に陥っても、不思議ではありません。

しかし、ここで勘違いしてはいけません。企業から直接スカウトが入るということは、あくまでも「書類選考が通過したレベル」だからです。

実際には、その先に一次面接から始まって内定に至るまでの、実に長い採用のプロセスが待っています。

もちろん、「面接に行って落ちてしまう」ケースだってあります(むしろ、その方が多いのかもしれません……)。

従って、企業からダイレクト・スカウトが入っても、入社が保証された訳ではないということを、肝に銘じておかなければなりません。

安易な広告に惑わされて、興味本位で転職サイトに「登録する」といった軽はずみな行為は、厳に慎む必要があります。

  次回につづく(毎週月曜日若しくは火曜日に投稿予定)
 
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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中山てつや
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