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【第2回】評価も所詮(しょせん)は好き嫌い
同じ会社で、同じ人事制度のもとで、同じ仕事をしていても、上司が変わるだけで評価も正反対に、真逆へと変わってしまうのは、なぜなのでしょう。
企業の人事に携わる多くの社員及び関係者が、少しでも「フェアな評価」がなされるような「人事制度の構築」に取り組んでいます。
また、常に変化する社会情勢に対応できるような仕組みを、作り上げてきました。
改善しようとする努力は大切ですし、今後も更に進化していくものと確信しています。
しかし、いかに優れた制度やシステムを設けたとしても、仕組みを用いて実際に評価するのは、直属の上司です。
人事制度や、評価の仕組みが、直接部下を評価するわけではありません。
たとえ自動評価装置のようなオート機能ができたとしても、運用が問題なく、円滑に進むとは思えません。
なぜなら、運用者が常に「生身の人間」だからです。
人間であれば誰しも、自分の言うことに、素直に従う者を、配下に置きたいと考えます。
会社であれば、上司は自分の意に沿った、使いやすい社員を部下にしようとします(もちろん、例外はあると思いますが)。
諸事情で、仕方なく受け入れてしまう部下もいます。また、「こいつは使える!」と思った部下が、実はそれほどでもなかったりします(この上司にとっては、の話ですが)。
しかし上司は、本質的に自分と気心の合う部下と、気持ち良く、自分のペースで仕事をしたいと考えます。
部下を評価する時にも、自分と肌が合うかどうか、気が合うかどうか、がいつのまにか判断基準となってしまいます。
更にその傾向は、職責が上がれば上がるほど、顕著となります。「上に行けば行くほど好き嫌い」たるゆえんです。
上司が会社の経営幹部ともなれば、職務権限も強くなるので、自分の意思をもっと貫きたい欲求にかられるものです。
時と場合によっては、「俺は偉いんだぞ!」という態度に表れることもあります(個人差はありますが)。
部下に対する支配欲も、必然的に強まり、「好き嫌い」が評価の基準として、色濃く反映されるようになります。
しかも、自分の意に反して、方針に素直に従わない部下がいたら、排除しようとします。
異なる意見に耳を傾け、違うやり方を取り入れるくらいの度量も欲しいところですが、そのような懐の深い器を持つ人は、残念ながら、あまり多くいません。
たとえいたとしても、評価の段階になると、どうしてもギリギリのところで、「合う合わない」や、「好き嫌い」が作用してしまうものです。
上司からすると、せっかく手に入れた「上位職」です。部下に寝首を掻かれて、職位を失うことだけは、何としても避けなければなりません。
「上に行けば行くほど」自分の身が可愛くなり、知らず知らずのうちに保身に走ってしまうのも、そう考えると頷けるわけです。
次回につづく
(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、
シリーズ化したものです)
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