【第6回】転職で「年収が大幅に上がる」という勘違い
転職を真剣に検討する時、避けて通れないのが「年収」に対する考え方です。
今日に至るまで多くの方とお会いしてきましたが、こと「年収」に関しては大きく分けると次の3つに集約されます。
A:最低でも現状維持だが、可能であれば少しは上げたい
B:特に拘りはない(諸事情により下がってもかまわない)
C:現状かなり少ないと感じているので、大幅に上げたい
昨今は、応募の段階で「現在の年収」と「希望する年収」を企業側に伝えるのが通例です。
一般論ですが、最初から大幅な年収アップを希望する候補者は、性格的な面から職務遂行に「支障が出る」傾向が見受けられます。
そこで、入社後に想定されるトラブルを事前に回避する観点から、書類選考時にフィルターにかけるようにしています(もちろん例外はありますが……)。
こちらも一般論ですが、最終的に提示される年収は概ね現年収とほぼ同じ水準です。たとえ上がったとしても、10%も上がれば「御の字」です。
その観点からすると、Aの「可能であれば少しは上げたい」パターンは、転職するにあたり極めて無難な考え方です。
Bの「特に年収に拘りはない」パターンで最も多いのは、転職先の社風や人間関係に問題があって「一刻も早く次の会社に移りたい」というケースです(リストラや倒産等で離職済または離職予定の方も、この中に含まれるでしょう)。
年収に拘らない方は転職先の選択肢が増えるので、すぐに次の職場を見つけるチャンスは格段に多くなります。
また現職のまま転職が決まれば、年収もそれほど落とさずに決まる可能性もあります(もちろん、面接の結果によっては上がることもあります)。
Cの「年収を大幅に上げたい」ケースは、過去に転職経験がなく初めて転職を考えるようになった方に多く見られます。
気持ちは分からないでもありません。特に、ある程度の経験を積んだベテランともなれば、なおさらです。
「今の給与は、自分の実力に比べてあまりにも安い」、「自分のことをもっと評価してくれる会社があるはず」、「自分の市場価値はいかほどのものか?」と考えている方が多いのではないでしょうか。
個人的な経験からも、この感情は痛いほどよく分かります。然るに、目先のお金に固執し過ぎると「逆効果」となるので注意しなければなりません。
転職は、あくまでも自分の「生き方」や「キャリア」を大前提に考えるべき、ということでしょうか。是非、頭の片隅に置いて頂ければと思います。
次回につづく(毎週月曜日若しくは火曜日に投稿予定)
(本文は、弊著『四十歳を過ぎて初めて転職の二文字が頭をよぎったら読む本』<ブイツーソリューション>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)