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2019年 64冊目『水木しげると妖怪の哲学』
先日のEMS( Essential Management School )の講師で来ていただいた甲田烈さんの本です。
授業は「構造構成主義と仏教、思想の対比から本質をつかむ」というテーマでした。
こっちは抜群に学びになりました。
本は、全く知らないことだらけでした。
例えば、水木しげるさんにとって「妖怪は感じるもの」で、それは紛れもなく「いる」ものだったそうです。
有名な妖怪の「塗り壁」は、水木さんが戦時中にジャングルを闇夜に逃げ惑う際に体験したものなのです。
余談ですが、水木さんは戦争で大隊が全滅した際の唯一生き残った人でした。
ところが、本隊に戻ると、上司から褒められるどころか、一緒に死ななかったことを叱責され殴られます。
その不条理(当時は、これが常識だったかもしれません)から、戦争に対して一貫した思いを持ち、漫画に描いています。
例えば、鬼太郎は片目です。これは「祖先の霊のゆるし」が理由だそうです。
鬼太郎の1つ目は、 柳田国男さんの一つ目小僧がモチーフなのです。
神への供え物として、片目を潰し、片足を折るということがあったそうです。
書いていても痛いです。
妖怪は、いわば公認されざる神だという位置づけだとあります。
※鬼太郎の片目については、他の理由も書いています。
例えば、イボ神様では、自分の排泄物の中からオタマジャクシのようなものを見つけます。
そのオタマジャクシのようなものが、自分の体から栄養を取りながら生きるのですが、それとの共生の可能性を捨てません。
異形、異物を排除せずに共に生きようとするのです。
例えば、ニセ鬼太郎の話があります。ニセ鬼太郎は他人からの評価を夢見ます。
これは人間が勝手に作った「幸福」という言葉に絡めとられることによって立ち現れる「地獄」を表しているのです。
深いですね。
例えば、水木さんは、自分の名前を冠した人をマンガの中で何度も殺しています。
そのベースには「要するにすべては屁のようなものであって、どこで漂っていても大したことはないようである」と言います。
達観という言葉では言い表すことができない死生観ですね。
例えば、水木さんのいう幸福の7箇条があります。これなどはとても納得感が高いです。
1成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない
2しないでいられないことをし続けなさい
3他人との比較ではない、あくまでも自分の楽しさを追求すべき
4好きの力を信じる
5才能と収入は別、努力は人を裏切ると信じよ
6怠け者になりなさい
7目に見えない世界を信じる
6の背景が知りたいです。