2015年 37冊目『博士の愛した数式』
第一回本屋大賞を受賞した本ですね。
数学家であった博士は交通事故に逢い、過去の記憶は残っているのですが、現在の記憶は80分で消えてしまうようになってしまいました。
その博士と家政婦とその息子(博士には頭の形が平らなので√ (ルート)と呼ばれている)の日常を描いています。
博士と家政婦、あるいは息子とのやり取りの中に様々な数学の話が出てきます。
一見むつかしそうな話が、この話の中では、とても楽しい推理小説のようになっているのです。
階乗や、素数そして友愛数などの話です。
友愛数はそれぞれの約数の和が相手の数字になっている2組の数字のことです。
例えば
220:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
284:1+2+4+71+142=220
の組合せなどです。きれいですよね。ちなみに次の友愛数は1184と1210だそうです。この友愛数を見つけたのはピタゴラスで、紀元前6世紀のことだそうです。
ちなみに完全数というのもあります。約数の合計がその数字になるものです。
例えば
28=1+2+4+7+14 です。
これは更にきれいですね。
次は496、8128、33550336、8589869056だそうです。
ちなみに約数の合計がその数より大きいのは過剰数、少ないのは不足数というそうです。
私は理系で数字も好きなのですが、苦手な人でも楽しく読める本だと思います。
本途中の博士が√(ルート)を連れてくるように家政婦さんに言う話、博士と√とのやり取り、3人でタイガースを応援しに球場へ行ったエピソードなど、とても素敵なエネルギーに満ち溢れています。
ラストも良い感じです。
私の好きなタイプの終わり方です。
お勧めです。
▼前回のブックレビューです。
▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。