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2021年 69冊目『CFOポリシー』

定期的に情報交換しているKさんお薦めの本でした。
早速購入したら、なんと既に購入していました。

読んでみたら、とても面白い。
学び一杯。

ちょうどランチをする機会があったので本が大好きなコープさっぽろの大見理事長に1冊プレゼント。

喜んで頂けました。

さて内容

日本にはスーパー経理部長はいるが、真のCFOはいない。

CFOを教育するために一橋大学 伊藤邦雄教授が教育機関を立ち上げた。
その際に著者であるエーザイの柳良平CFOが非常勤講師として参画。
理論、データ、実践が揃ったCFO必読の本になっています。

理論は伊藤教授はじめ、最先端が学べます。

データは、グローバル投資家サーベイとして2007年から19年まで12年間の100名以上の投資家の意見。

筆者自身が実施した200名以上、3000件の海外投資家との意見交換の実績。

そして実践としては、世界の投資家の著述へのサポートとエーザイ社での実践が挙げられます。

エーザイに関しては、各種データも開示していて、それを読むだけでも面白いです。

CFOの仕事は、企業価値の番人であり、企業価値の創造者だと言います。

これが、スーパー経理部長とCFOの違いだと思うのです。

金の事だけを担当しているのか、企業価値まで意識して、それを実践できているのか?

まさに、これを実践するための内容が書かれています。

世界の投資家の意見 2007年→2019年

・日本企業のガバナンスに関する満足度 07年満足2%→19年22%と改善傾向

・日本企業のROEに関する満足度 07年満足2%→19年17%と改善傾向
 ROEが8%程度になると満足が上昇

・ROEとESGを両立して価値連関性を示してほしい 07年満足48%→19年75%と改善傾向

不都合な真実 日本企業の保有現金100円は50円

 日本企業が保有する現金100円をどのように評価するかという質問があります。

 現金なので100円と評価すれば良いですよね。

 しかし半分しか100としか評価していないのです。

 半分は50円~と見積もっているのです。

 その理由は、コーポレートガバナンスやそれを理解するコスト。

 また変な投資をするのではないかというリスクで割り引いているようなのです。

 つまり、現金があったとしてもどう使うか分からず、損することに使いそうだという事なのです。
→悲しすぎる評価ですね。

企業価値を高めるCFOポリシーと財務戦略マップ

エーザイの事例が載っています。さすがです。分かりやすいです。
IR→株主価値の最大化が説明されています。

財務戦略
①配当方針
②ROEマネジメント
③投資採択基準:VCIC
NPV&IRR→リスク調整後ハードルレート
④最適資本構成
⑤資本コスト

※それぞれが理論に基づいて説明できるようになっています

 ROE経営について言及があります

  PBR=ROE×PER

ROEは長期的に株主リターン(TSR)に収れんし、機関投資家の9割が重視

株主価値との価値連関性は証明済

ROEを高めるにはデュポン分析が有効

ROE=マージン×ターンオーバー×レバレッジ

ROEを高めるために、レバレッジ(総資産/株主資本)を高める批判がある

※過度な借入金をするなどで数値が上がる

しかし、アメリカのS&Pの平均レバレッジは5%以下で、日本のTOPIXの平均レバレッジは6%強。つまり日本企業の方がレバレッジが高い!

→アメリカ企業もマクロでみるとそんな馬鹿なことはしていない!!!
エーザイの10年の平均ROEは10.2%、20年で株価4倍

高度な投資採択基準が価値を創造する

基本原則
1 NPVがプラス
2 IRRが資本コストを上回る
3 1と2では1を優先
4 複数案件はPI(Profitability Index)で比較が有効
5 さらにリアルオプションも検討
※リスク調整後ハードルレートは200種類!
→経営者は投資したい。投資銀行は成功報酬が欲しい。

CFOが正しい判断をしなければ成功しない!
良いROEと悪いROE
良いのは長期思考
成長見込みのある低ROE
収益絶対額を伴うROE

バランスシートマネジメント
※過剰レバレッジが良いはずがない

簿価主義(時価と簿価は最終的に収れんする)
資本コストを上回るROE
アカデミック論文が根拠
ROE向上を求めるのは理解すべき
財務リテラシ、管理会計
ESG、CSRとの両立
エーザイのESGのKPIと連結PBRと優位な正の相関があるもの

数字は何年後に相関するのか
障碍者雇用率 11年
人件費 5年
健康診断受診率 10年
女性管理職比率 7年
社員数管理職比率 11年
研究開発費 17年
育休、短時間勤務利用者数 9年

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