2017年 15冊目『幸せのメカニズム』
著者の前野隆司さんは、もともとロボットのエンジニアで、カリフォルニア大学やハーバード大学で研究員や客員教授をされ、現在は慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授をされている方です。
究分野は広範囲にわたり、ヒューマンマシンインターフェイス、幸福学、感動学、共感学、イノベーション教育、コミュニティデザインなどです。
幸福についての研究をきちんとレヴューして、そこから幸福になるための方法論を導き出し、幸福な人と社会を創りだす方法について提言してくれています。
気になったポイントを以下に記します。
序章:役に立つ幸福学とは
・1958年から2010年に1人あたり実質GDPは6倍に増加したが、生活満足度はほぼ横ばい。
・幸福はダイエットに似ている:知識(メカニズム)+実践で効果が上がる
1章:幸せ研究の基礎を知る
・タイムスパンで分類 長い:幸福な人生>幸せな気分・うれしい気分>うれしい・楽しいという感情:短い
・well-being(幸福)⇔happiness(短気な幸せ)
・ディーナーの人生満足尺度:幸福学の父
選択肢7つ 1全く当てはまらない⇔7非常によくあてはまる
ーほとんどの面で、私の人生は私の理想に近い
ー私の人生は、とても素晴らしい状態だ
ー私は自分の人生に満足している
ー私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた
ーもう1度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう
→アメリカの大学生24.5、日本の大学生20.2、韓国の大学生19.8、中国の大学生16.1
・感情的幸福 ポジティブ感情、ネガティブ感情:佐藤、安田
選択肢6つ 1全く当てはまらない⇔7非常によくあてはまる
ポジティブ感情8つ
活気のある/わくわくした/気合の入った/きっぱりとした/機敏な/誇らしい/強気な/熱狂した
ネガティブ感情8つ
いらだった/苦悩した/ぴりぴりした/びくびくした/恥じた/うろたえた/心配した/おびえた
・ポジティブ心理学:もともとはうつ病の研究からスタート。普通の人をよりポジティブに。
・主観的幸福研究の流行:2000年ころまでは研究数は50/年→2010年には200件/年
・幸せは何と関係するのか→人は自分の幸せの判断について間違ってしまいがち
ー国別1人当たりGDP:低いところは幸福度はばらける。高いところは、相関がありそう
ー幸せな人は長生き
-結婚・死別>未婚>離婚
-もっとお金があれば幸せなのに
ロシア70%、中国70%、日本65%>>ドイツ37%、イタリア36%、フランス35%、スペイン27%、イギリス21%、アメリカ16%
ーフォーカシング・イリュージョン:所得など特定の価値を得ることが必ずしも幸福に直結しないのに、それらを過大評価する
→年収7万5000ドルを超えると幸せとの相関がみられない
ー地位財(posotional goods):所得、社会的地位、物的財
-非地位財(non-positional goods):健康、帰属意識、環境、自由、愛情
→両者のバランスが重要
-カレンダー〇×法:毎日、日々の幸福感を理由と一緒に残す
-ピークエンドの法則:人の快苦は、体験のピークと最後に影響される
ープロスペクト理論:人が感じる価値の大きさは、客観的な数値に比例しない
→いい事の時はリスクを避け、悪い事の時はリスクテーカーになりがち
ー幸せは間接的にやってくる:別のことをすると、結果として幸福を感じる
2章:幸せの4つの因子
・第一因子:やってみよう因子(自己実現と成長の因子)
-コンピテンス:私は有能である
ー社会の要請:私は社会の要請に応えている
ー個人的成長:私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた
ー自己実現:今の自分は本当になりかったかった自分である
・第二因子:ありがとう因子(つながりと感謝の因子)
ー人を喜ばせる:人の喜ぶ顔が見たい
ー愛情:私を大切に思ってくれる人たちがいる
ー感謝:私は人生において感謝することがたくさんある
ー親切:私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたいと思っている
・第三因子:なんとかなる因子(前向きと楽観の因子)
ー楽観性:私は物事が思い通りに行くと思う
ー気持ちの切り替え:私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまりひきづらない
ー積極的な他者関係:私は他者との近しい関係を維持することができる
ー自己受容:自分は人生で多くのことを達成してきた
・第四因子:あなたらしく因子(独立とマイペースの因子)
ー社会的比較志向のなさ:私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない
ー制約の知覚のなさ:私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない
ー自己概念の明確傾向:自分自身について信念はあまり変化しない
ー最大効果の追求:テレビを見る時はあまり頻繁にチャンネルを切り替えない
・幸せのクラスター分析
最も幸せなグループ20%、やや幸せ17%、平均的45%、やや不幸せ7%、不幸せ11%
・幸せ、不幸せの3つのループ
ー幸せの好循環ループ
ー誤った幸せのループ
ー不幸せの悪循環ループ
3章:幸せな人と社会の創り方
・成長期は地位財を、成熟期は非地位財を目指す
・四因子実現社会を目指す
・美しいものを創る人は見るよりも幸せ
▼前回のブックレビューです。
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