2017年 100冊目『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』
ヤフーの安宅さんがFBで紹介されていたのと著名な本間さんの本なので手に取りました。
週1回、30分の「部下のための時間」が人を育て、組織の力を強くする。とあります。
以前、在籍したリクルートテクノロジーズでも、「よもやま」という名称で週1の1on1ミーティングをしていました。
それを実現するためにも、マネジャー1人のメンバーは最大10人に設計していました。
10人でも6時間/週ですので、かなりパワーが必要です。
実際は、2週に1回程度でしたが、効果は大きかったです。
忙しい組織で、この1on1ができなくなると、現場の小さな変化に気づかなくなり、問題が放置される傾向がありました。
我々は、よもやま=よもやま話=メンバーが話したい話をする場として、実行していました。
ヤフーでは、それを部下育成の時間と振り切って、ある程度方法論を形式知化しているのが素晴らしいと感じました。
理論的背景は、コルブの経験学習サイクルをベースにワークス研究所でも指導いただいている北海道大学の松尾教授のノウハウを加えたものです。
・具体的経験→内省(省察的観察)→教訓を引き出す(概念化)→新しい状況に適用する。というものです。
また、基本的な思想としてアサイン(会社が仕事を割振る)よりもチョイス(メンバーが自ら選択)を標榜しているので、メンバーのチョイスを知る手段としても活用しています。
当然ですが、6000名の会社です。
1on1のような時間のかかる施策がトップダウンだけで定着するわけではありません。
その際の、葛藤や手順なども丁寧に説明されています。
マンガや実際に行った人たちの意見も掲載されていてリアリティがあります。
標準化しているのですが、現場主導のようです。
例えば、1on1用記入シートも複数掲載されていました。
経験したこと→学んだことといった上述のコルブのサイクルの一部を記入した上で、この経験が挑戦的、改善点を見つけた、面白さを感じたかで評価するものがあったり、
進捗・相談/相談の分類/内省/ポジティブフィードバックの4項目について、うまくいった点とうまくいかなかった点を記載するものもありました。
まったく、目的が違うシートが流通しているのが面白いなっておもいました。
松尾教授に加えて、RMSにいらっしゃた先輩の由井さんも対談で登場されていて、さらに親近感を持ちました。
私も1on1はとても大事だと思っています。
異動すると、100人くらいの組織なら、必ず1on1でミーティングをします。
何を大事にしているのか、何をしたいのか、何を課題と感じているのか、何が得意なのか、そんなことを情報交換します。
カルロス・ゴーンさんも日産に来た時に、稲盛さんも日本航空に来た時に300人程度とやったと読んだことがあります。
現在も、自分自身で直接やっているのは1人ですが毎週1on1やっています。
ヤフーの爆速の基礎部分を作っている施策だと思います。
急成長させたい組織トップは必読です。
▼前回のブックレビューです。
▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。
よかったら、手に取ってみてください。