2023年18冊目『改訂5版日本型成果主義の基盤 職能資格制度』
日本の人事制度の基礎を作られた楠田丘(くすだきゅう)さんの著書です。
20年前、楠田さん御年80歳の時に5版を書かれたのですが、その4刷が2年ほど前にされているのです。
つまり、読み続けられているのです。
仲間の毛利さんが、1章と7章だけでも読んで感想が欲しいという話だったので手に取りました。
驚きました。
人事制度の問題を感じている人、変更を考えている人は必読だと思いました。
何よりも中身が今でも色あせないどころかピカピカなのです。
そのまま使えるのです。
1章で人事制度を作る際の全体像が分かります。
2章から6章はどうやって作るのかが分かります。
7章は日本型成果主義の構築が労使の課題なのですが、解答の一端が載っています。
8章はこれからの課題です。
楠田さんは預言者なのか。あるいは日本企業が課題を放置していたのか。
両者でしょうね笑
なるほどなって思ってドッグイヤーを付けたのを残します。
1-5図 能力主義との調和が大切
・2つの人事管理
能力主義:人間基準(労働力基準) 人材育成
成果主義:仕事基準(労働基準) 人材活用
1-6図 人材の樹木モデル
・根と幹は職能資格制度(能力主義)で人材育成
・枝と花や果物は成果主義(実力主義、加点主義)
※根と幹を育てる≒インプット
インプット無くしてアウトプットは無い
・従業員満足⇔顧客満足⇔経営満足⇔社会満足
従業員満足(期待、信頼、公正)
→これって中尾がいう5Sの概念です
1-13図 能力主義人事の6つのアイテム(トータルシステム化)
能力→①職能資格制度→肩書
②能力評価、③能力開発(意思)能力
能力→④面接→仕事⑤昇進の多様性(適正)
能力→⑥職能給→賃金
①能力主義人事の基準(評価、育成、活用、昇進、処遇のベース)となる職能資格制度を導入
②絶対考課としての人事考課の確立
③個を見つめた人材育成(能力開発)
④面接制度の整備と機能強化
⑤昇進の多様化
⑥賃金制度の再編・整備
(いわゆるアメリカ型)成果主義導入の問題点
1 目先の業績のみを追い、本質的な生産性の向上を失う
2 不公平感が高まる
3 連帯感の喪失
4 部下育成の軽視
5 失敗を恐れる
→アメリカ型の組織風土では機能する
7-5図
アメリカモデルは、成果主義(役割給)
日本モデルは、~40生活主義(年齢給)40~能力主義(職能給)
20代(アンスキル)7割が年齢給、3割が職能給
30代(セミスキル)3割が年齢給、7割が職能給
40代(スキル)7割が職能給、3割が役割給
50代(ハイスキル)3割が職能給、7割が役割給
実力主義:実力で仕事を設定すること
加点主義:本人の意思とか適性を尊重して仕事を設定すること
7-6図 能力と実力の違い
能力ー(陳腐化、体力・気力の低下、行動特性の劣化)=実力
能力:~できる
実力:~している
7-12図
昇格:能力主義
昇進:実力主義
昇給:前半:能力主義、後半:成果主義
組織風土:加点主義
7-15図 クラスタの構成
枝:基礎力(思考力、戦略力)、計画力(情報力、企画力)、運用力(時間力、対人力、管理力)
幹:能力(知識、技術、技能、経験、指導力、情報指向、判断力、挑戦力、コミュニケーション力、規律性、協調性、積極性、責任制、自主性)
根:性格・素質(感性、体力、気力、持続力、使命感、ロマン、意欲、価値観)
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