2023年 86冊目『解剖 早稲田建築 古谷研』
友人の東洋大学教授の仲 綾子さんがサバティカルの1年、同研究室に参加。
多方面でユニークな人材を輩出し続ける古谷誠章研究室の「人がありのままで育つチームのつくり方」を密着ドキュメントした本です。
企業のチーム運営にも役立つノウハウ、Tipsがたくさん。
仲さんに、私の本も書いてほしくなりました笑
古谷研究室は総勢107名(2022年)。
東大の隈研吾研究室が40名(2018年)で、私立はもう少し多いが100名は異例だそうです。
そして、多くの著名建築家が巣立っているそうです。
例えば2022年の日本建築設計学会賞は、6名の受賞者のうち大賞含めて3名が同研究室卒業生。
古谷研は、仲さんの目から見るととてもユニーク
建築系の研究室なのに、学生がダンスについて発表し、古屋さんは窘めるどころか、それを面白がっているのです。
そしてゼミ、プロジェクト、コンペ、やたらと多いイベントなどがあちこちで起きているそうです。
大勢の人をマネジメントし、しかも一見不要なこともいっぱいやりながら、優秀な人材を輩出し続ける古屋研を解剖してくれたのでがこの本です。
上述したように大学の研究室マネジメントだけではなく、企業でも役立つ内容がたくさん載っています。
そもそも古谷さんの発想が、100人100通りの建築の道を支援しようとしているのです
⇒そんな会社ありますかね(サイボウズが標榜していますが、あれは人事制度だけなんですかね)
評価方法もユニーク。演習の報告が終わると4〇(ヨツマル:脱帽)、ミツマル(秀でている)、フタツマル(及第)に加えて、ヒトツマル(手抜き、悪意を感じる)と評価するのです。
そしてヒトツマル2回で単位が取れない
2回にしているのは、「人間だから調子が悪いときもある)
⇒減点主義の会社や1発アウトの会社ありますよね
M0(エムゼロ)という表現もユニーク
これは学部の4年生を指すのですが、3年までの前半とM0から大学院の2年の後半3年を表現する言葉。
専門教育に差しかかった学生という事を本人にも周囲にもわかりやすい表現ですよね
恩師の言葉をずっと守り続けている
学生へのフィードバックが、まずポジティブ。
そして、どのようなアイデアであっても必ず自分ならどうするかというアイデアを瞬時に考え、フィードバックしているそうです。
⇒こんなリーダーなら、のびのび自由にできそうです
当たり前ですが、スーパー助手が複数人いて、サポートしている
⇒当然ですね
まず遊べ、そして学べ
製図室で全国の雑煮をつくり、それを食べることで日本の違いを学び
ガチゼミでガチサッカーをし、宴会をしまくり(その係もある)、
バースデーケーキを建築し、人の作品を見ることを促し、そこに自分の作品を見出す。
研究の仕方のユニークさや発表のレベルを上げるために仕組みや企業とのプロジェクトの進め方なども参考になります。
古谷さんへのインタビューも面白いです。
イッセイミヤケ好きで、食いしん坊で、話好き
そして晴れ男で、皆が古谷さんがくれば大丈夫って思っているのです
ちなみに仲さんは、この1年間のサバティカル中に多くの論文も執筆したそうです
まさに、遊びながら、学んで、そしてアウトプットを実践したのです。
▼前回のブックレビューです。