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【週末うちの一皿】サーモンハラス すっかりムードはクリスマス

こんにちは、さかな一代の中乃一です。

あなたの週末に、お魚との「未知との遭遇」を。さかな一代の大人たちが、あなたの食卓の一皿に「魚料理」が加わることを願って、静かに連載しています。みなさんとの合言葉は「肉料理には負けないぞ!(笑)」

もうすっかりムードはクリスマス! 街のイルミネーションや、店頭ディスプレイに、ほっこりする季節です。なにかと忙しい年の瀬に、クリスマスという現実逃避を図っている大人をしり目に、子供たちは「サンタさん、くるかな!?」とわくわくその日を待っているのではないでしょうか。

でも我が家のクリスマスに異変が!「このところの諸般の事情でサンタさんが日本に入国できないみたいだから、今年のクリスマスプレゼントはママからになるから直接言ってね。」と。それを聞いた時に思わず吹きだしてしまった。もう子供たちを前に偽装するのに疲れた大人が考え出した技とでもいいますか、それにしても凄い言い訳(笑) ぼくが知らないだけで、我が家には本当にサンタが来ていたのかもしれないが、さすがだ。

昔おしゃれな隣のお姉さんは、クリスマスの日私に言った。今夜8時になればサンタが家にやってくる(ソングライター: Yumi Matsutoya)。

今も昔もサンタは現実的にはごく身近にいる存在なんだな。

しれーっと日本のイベントカレンダーに組み込まれたクリスマス。そうイベントとしてのクリスマス文化だから、商業的な要素が目立って、本場のような伝統的な意味合いは薄い。セールがあり、ケーキが売れて、プレゼントがもらえる。あとは、家族であれ、恋人であれ、大切な人との時間を楽しむ口実だろうか。

大トロ アトランティックサーモン ハラス

日本の食文化的には、まだ振興で、チキンが圧倒的に優成なこの魚空白地帯に、ある魚が登場した(ニヤリ)。北欧のサンタと北欧が特産のサーモンを結び付け、さらにクリスマスの食文化として日本に根付かせようと考えた人がいたんだと想像します。時期的に、秋の魚として古くから日本人になじみの鮭が市場に出回る頃なので、サーモンを日本で暮らす人にクリスマス食材として刷り込むには好都合だ。
(※フランスではクリスマスにサーモンを食べることがあるようです)

魚1匹で2本しか取れない希少部位で、マグロの場合大トロと呼ばれて最も人気があるのがハラス

鮭やサーモンの場合は、まだお安いのでとてもバリューがあるハラス。少し前までは、訳あり商品扱いだった、というか、お安いということは今でもそうか。背の身(フィーレ)に加工するのに都合の悪い部分であり、ヒレとヒレの付け根の骨があることもその理由だろう。大型になるサーモンは、同じく大トロとしてハラスが珍重されるマグロと同様に、ここにめちゃくちゃ脂があって旨い。

ちなみに焼肉で有名なのは「ハラミ」、牛の横隔膜ですね。「ハラス」も、もともと精肉で部位を表す用語だという解説がありますが、そうだとしたら、魚が精肉用語を乗っ取った一例のようです。これで、陣地1個回復ですね。というか、仲良くしましょう。

お魚のハラスってどこよ?

近年日本で市民権を拡大中の人気のサーモン。ご存じだとは思いますが鮭です。人気の火付け役は、回転すしをはじめとした、外食でしょうね。脂がのって美味しいのはもちろん、天然である鮭と違い寄生虫の心配がなく、生食を前提に加工されていれば、生で食べても差し支えないことから、幅広い世代に大人気な食材です。なにより、品質と供給が安定している。

生育に適切な水温域を選び、成長をマネージメントする。今年は、北海道近海の水温が例年になく高くて、天然の鮭が不漁だったことを考えれば、魚の成長と品質には水温がものすごく重要だということがわかる。また天然ということは、自然相手であることから不安定な結果を生むことも。
だから、ぼくたちが美味しいサーモンを、ここ日本で安定して食べられていることに感謝する。

週末うちの一皿:ハラスの”一塩”焼き

今日の一皿を作って、味わっていきましょう。焼き魚はよく、「海のものは身から、川のものは皮から」なんて言われます、海で育つ鮭やサーモンは身からなんでしょうね。

皮が収縮して身が反ってしまうので、ご家庭のグリルであれば、身の側から焼くことをお勧めします。
その前に、ほんの「ひとしお」塩を振ります。キッチンの掃除が大変になりますが、ハラスの上空、高いところから振りかけます。あと、ハラスと言えど、ヒレが焼け焦げてしまうので、適度に塩をすり込んでおきます。

そのままではかなり大きくてグリルに入らない、半分くらいが適当か。

ハラスの”一塩”焼き

■材料(3〜4人分)
サーモンハラス(今回は1kg)、塩少々
■作り方
1)解凍して、軽く水洗いをしたら、半分のサイズに切る。
2)グリルを点火、約30秒ほど、強火でグリル内を温める。
3)ハラスに一つまみの塩を高いところから振る、ヒレには塩をすり込む。
4)中弱火で、身の側を8分ほど焼く。
5)裏返し、中弱火で、皮目側を、3分ほど焼く。
さらに皮目に焼き色が欲しい方は好みで焼きの追加を。

さかな一代 中乃のレシピ

さてさて、日本の四季感を大切に思うと、養殖とくくられる食材の旺盛に対する想いは複雑です。冷凍技術の発展で冷凍で品質を高く保つことが出来る今日、ますます魚食と季節とのかかわりをわかりにくくしている。そう考えると、季節感のある日本の伝統食の文化とは、技術が未成熟のための制約の裏返しだと気づかされる。

オーガニックであること。これは、食の安定を旨とする場合にとても難しい事であることがわかってくる。そして、それを実現することはとても価値のあることであることも。

舌で感じる味に、頭で考えるて足される「味付け」があると思う

時にはオーガニックな面を優先させる、また別な時はテクノロジーを優先させる、その選択に必ず意味があるはず。
選ぶ意味、食の経験の上では、それがかけがえのない財産になり、舌で感じる味をさらに豊かにしてくれる。

食の豊かさとは、便利になることとイコールではないことにぼくたちはやっと気が付いた。ましてや、やみくもに食材があふれていることでは決してない。

あなたにとっての素敵な食材との出会いがあって、そこにみなさんの幸福があることを願って、今日はアトランティックサーモンハラスに、箸を運びました。

週末うちの一皿:ハラスの一塩焼き

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では、また次回をお楽しみに! サラバジャ。


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