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三浦綾子作『母』を読んで

三浦綾子作『母』との出会い

昨年、私は新卒以来勤めていた職場を辞め、転職しました。
以前の職場には、おばさん・お姉様方・マダムという方々がいらっしゃいました。
しかし、今の職場になって、年齢層がグッと若くなりました。
刺激的な反面、無意識の内に若い周囲と自分を比べるようになり、劣等感を感じ、傷つきやすくなりました。

辛くなってきて、今の私にはおばさん栄養素が足りていないと自己診断し、おばさん栄養素を摂取したいと思いました。
いわゆるミドルエイジ世代の作家が書いたエッセイを読むようになりました。そこで、ジェーンスーさんの作品と出会いました。

なんだか優しい気持ちになり、ジェーンスーさんはどんな人なんだろう、もっと知りたいと思いました。元TBSアナウンサーの堀井美香さんとジェーンスーさんがやっているポッドキャスト「Over the Sun」を聴くようになりました。

最初は堀井美香さんに対して、アナウンサーさんって私とはまた違う世界の人間だろうなと先入観を持っていました。
でも聞き進めると、堀井美香さんが面白くて気取らないいいお姉さんだと感じるようになりました。

そんな堀井美香さんがYoutubeでの動画でおすすめしたのが、三浦綾子さん作『母』でした。

読んだ感想:真面目に生きている何人かの知人の顔が浮かんだ

この本は『蟹工船』などの作品で有名な小林多喜二さんの母親が、小林多喜二さんの死後、小林多喜二さんの半生を回顧して語るという内容です。

三浦綾子作『母』を読んで、私は
真面目に生きるって損することだよな
という感想を持ちました。

少し利己的に振る舞ったり、見栄えを気にしたり、世間体を気にして背伸びすることが、周囲からすると魅力的に見えることがあります。

私の周囲には、第一印象とかでは分からない程、真面目で誠実な人間がいます。その人は同世代の周囲と比べると見栄えとかをあまり気にしていません。私から見るとその人は真面目すぎて、損をしているように見えます。

『母』に書かれている小林多喜二は真面目です。
好きな女性に金を用意し、自分で生計を立てられるように教育を用意しますが、自分の気持ちをうまく伝えることができず、その女性は多喜二の元を離れてしまいます。

小林多喜二は、
これからの女性は自立して生きていく、自分の元にいてはだめだ、
と、とても真面目に考えます。

私も、小林多喜二さんほどではないにしても、利己的というよりも、真面目側で生きていきたいと思いました。損を多少しても、真面目に生きる、誠実に生きる、このマインドを忘れないでおこうと感じました。

さて、私は母親との関係が特段悪くはないですが、
自分の記憶がある限り、
母親に「ありがとう」といった経験がありません

『母』を読んだ後、『母』の感情を追うことができ、母親に「ありがとう」と言った経験がない自分が少し恥ずかしくなりました。

母親に私から「ありがとう」というのを、今年の目標としたいと思います。


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