背伸びした大人

本を読んで思ったことを徒然と記録していこうと思います

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最近の記事

鈴木涼美作『身体を売ったらサヨウナラ』を読んで

自分が忙しくて、本が読めていないと思っていたけれども、 実際は集中して本が読めない、本を読んでぼやっと何かを思う時間がないと言った方が正しい気がする。 私は読んだ本を全て、このnoteに読書感想文としてアウトプットしてしているわけではないけれども、 何だか、鈴木涼美作『身体を売ったらサヨウナラ』は感想文を書いておきたいと思った。 地方出身の私は、鈴木涼美さんの考え方とか生き方とか、鈴木涼美の母親のセリフとか生き方に憧れがある。作者の母親の受け答えに感動した。文学者ってすご

    • 大江健三郎作『「雨の木」を聴く女たち』

      大江健三郎作品を読んでいて、最近、はっきりと自分で気がついたことがあります。 大江健三郎作品を読んでいる時、私は不思議な感覚になります。 この感覚は他の作家さんの作品の場合は得られない感覚です。 (三島由紀夫作品を読んでいる時も、また別の不思議な感覚になります。) それが、純文学と大衆文学の違いなのかも知れませんが、 もはやあらすじがどうこうというのではなく、 私の感情はどうなるのかという点に集中しながら本を読んでいます。 私の読み方が間違っているのか、はっきりとはしませ

      • 桜木紫乃作『家族じまい』を読んで

        『家族じまい』も読み切るのに長くかかりました。 (最近忙しくて、本を読む「よゆう」がなくなってきているからです) 私にとっても家族は、悩みの種で、 親の介護や兄弟のことなど、将来どうなるのかなーーなんてぼやーと不安になることがあります。 この本では、母親が認知症にになったのちの、父親、娘二人、近隣の人、音楽家、母親の兄弟の関係の変化が描かれています。 『家族じまい』で描かれる家族関係の変化は、そこまで特殊ではない事例だが、でもそんなにありふれた事例ではなさそうです。 で

        • 大江健三郎作『沖縄ノート』を読んで

          『沖縄ノート』は私が読み切るのに、一番時間がかかった大江健三郎さんの本です。 なぜか? 書かれた時代は1970年代と、50年程度離れていて、 その間に、沖縄と日本の間の感情的な関係が、私の周りの中で、大江さんが書いている沖縄と日本の関係から全く別のものになっていて、うまく感情移入出来なかったのです。 昨年、私は沖縄に行き、そこで沖縄の人から戦争の話を聞くことをしました。もっと前には、大学生の頃に、沖縄に行き、ひめゆりの資料館に行ったことがあります。 2回の沖縄の訪問で、

          村田沙耶香作『変半身』を読んで

          『変半身』を読んで、とても楽しかったです。 後半は特にニヤニヤしながら読んでいました。 私も小さな農村地域、出身者として、伝統とかいうものに一定の嫌悪感を持ちつつ、でも捨てきれない感情があります。 だから主人公の気持ちはなんとなく分かる気になりました。 (最近は忙しくて、うまく、村田沙耶香作品を消化できないです。 それでも、本を摂取することは続けています。) 私の中で、村田沙耶香作品は、大好きな部分もあるけれども、 これどうなってるの?と村田沙耶香さんにつこっみたくもな

          村田沙耶香作『変半身』を読んで

          三島由紀夫作『仮面の告白』を読んで

          三島由紀夫さんの作品を読もうとしたのは、この『仮面の告白』が最初ではなく、本屋でたまたま読んだ『美しい星』でした。 でも結局、『美しい星』は途中で読むことを諦めてしまって今、本棚に置いてあるだけになっています。 最近の私は、なんだか楽しいと感じる時間も一定の割合はあるものの、ほとんどの時間がなんだか苦しい。 理由は大体検討がついているが、その理由が人間関係によるものなので、簡単には排除できなくて困っている状態です。 三島由紀夫を私に勧めてくれた人は、言えば私にとっては先生

          三島由紀夫作『仮面の告白』を読んで

          姫野カオルコ作『彼女は頭が悪いから』を読んで

          私は日常生活の中で、時折、最低な発言をしてしまいます。 傷つきやすいという性格を持ちながらも、店員さんにキツく当たったり、人の嫌がることをしてしまいます。 そんな自分の無神経さが大嫌いで、いつも人に優しい人になりたいと思っているですが、簡単にはそうなれない。 人と会話した内容を家に帰って一人で思い出し、 『あの時どうしてあんなことを言ってしまったのか?』 と、家に帰って一人でいるときに激しく後悔します。 私が小説を読む目的には、私の抑えられない攻撃性を少しでも減らすた

          姫野カオルコ作『彼女は頭が悪いから』を読んで

          岡田利規作『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を読んで

          大江健三郎さんが好きで、大江健三郎さんがいいという小説を読んでいこうと思って、大江健三郎賞の作品を読んでみた。 小説の描写の語り手がコロコロと変わる。変わっていることすら、わからない。 でも、私の考えとか、思考も、言ってしまえば、そんなものである。 私はよく、人との境界が曖昧だと言われる。バウンダリーに難がある。 だから、人と長く一緒にいると苦しくなってくる。 その人との境界が曖昧になってきて、嫉妬心やら、感情やら、何かしらを一致させようとする働きが生まれる。 岡田

          岡田利規作『わたしたちに許された特別な時間の終わり』を読んで

          高橋源一郎作『さようなら、ギャングたち』を読んで

          本を読んで感想をnoteに書くということをやってみて、いくつかのことに気がつきました。 その内の一つは、私は本を読みながら、その本の作者が言おうとしてることをなんとか読み取ろうとしているということです。 これは学生時代に国語のテストをやりすぎたからなのでしょうか。 忙しい時期になり、精神的な余裕がなくなってきたからか、 本の感想をうまく書けなくなってきました。 (今、すごく、私はプレッシャーを感じています。) 名前をつけることが、とても楽しい行為だということが分かりまし

          高橋源一郎作『さようなら、ギャングたち』を読んで

          カズオ・イシグロ作『日の名残り』を読んで

          私にとっての2冊目のカズオ・イシグロさんの作品です。 前回読んだ『わたしを離さないで』が、うっすらと悲しい感じがして、とても良かったので、他の作品を読んでみたくなりました。 結果的にこの本も、うっすらと悲しい雰囲気化が漂う作品でした。 (恥ずかしい話、私は些細なことで調子に乗ってしまうタイプの人間なので、自分が調子に乗っている時に精神を落ち着かせるための作品としてこの『日の名残り』を読みたいと思いました。) 物語の主人公はイギリスの大きな館に勤める執事、ミスター・ステ

          カズオ・イシグロ作『日の名残り』を読んで

          大江健三郎作『ヒロシマ・ノート』を読んで

          まず、『ヒロシマ・ノート』との出会いを説明しようと思います。 以前から私は大江健三郎さんが好きで、おそらく5冊ほど文庫本で読みました。 息子との共生や父親のことなど、個人的なことを徹底的に書いて、その感情の動きに感動していました。 何度も大江健三郎さんのWikipediaを読み、大江健三郎さんとはどんな人なのかを想像していました。 もっと大江健三郎さんについて知りたい。 大江健三郎さんを好きな人にはどんな人がいるのか。 (私の今の周囲には、読書をするという人は一定数いても

          大江健三郎作『ヒロシマ・ノート』を読んで

          宇津木健太郎作『猫と罰』を読んで

          『猫と罰』って題名がまず、なんかいい。 表紙の絵もすごくいい。イメージが湧いてくる。(はやしなおゆきさんという方だそうです。) あらすじは、主人公は猫(作中では己)。 漱石にも飼われたことがある前世の記憶を持つ主人公が、ある古書店の店主の女性と関わりながら、話を作っていくというもの。 主人公?の猫の性格が、なんだか私に似ている気がする。 (私の悪い癖で、小説を読む時に、登場人物この場合は猫なのだが、自分と重ねてしまう。今回の場合は猫で、さらに何度も転生をしているという設定

          宇津木健太郎作『猫と罰』を読んで

          村田沙耶香作『コンビニ人間』を読んで

          村田沙耶香さんの作品を読んだのは1ヶ月半ぶりでした。 実は村田沙耶香さんの作品を読むのを、私自身少し躊躇している部分がありました。 私の中のジェンダーバイアス、男女差別が最近暴走気味であり、最低な発言を大切な友人に向けてしてしまいました。 その後、私はその自分の男女差別発言について反省しましたが、やはりその気持ちを無かったことにはできないとも思いました。 自分は村田沙耶香作品から、何を感じていたのだろうかとも振り返っていました。 (別に村田沙耶香作品がジャンダー論のみを

          村田沙耶香作『コンビニ人間』を読んで

          ジョージ・オーウェル作『1984』を読んで

          猛烈な暑さが少しずつなくなり、夜は冷え込むような時期になってきました。 私は、この日夜の寒暖差からか体調を崩し、咳が止まらない状況です。 そんな体調の中、ジョージ・オーウェル作『1984』を読んでみました。 (最近は読んだ本について、なるべく早く感想をnoteに書こうとしています。) この本に出会ったきっかけは、まず新聞で紹介されていたのを目にしたからです。加えて、太田光『文明の子』の後書きにも紹介されていたと思います。 また私が好きな映画に『マトリックス』と『ブレード

          ジョージ・オーウェル作『1984』を読んで

          島口大樹作『鳥がぼくらは祈り、』を読んで

          今日は天候は雨。でも出勤しないとダメなので、傘を刺して外を歩いていると、上着もズボンも全てがべしょべしょになりました。不快ですが、これも受け入れるしかないかと諦めていました。 この本との出会いはおそらく何かの文学雑誌で、何かの文学賞候補に挙げられていたところからでした。 読んでみた感想は、なんだか特殊な文章構成で、でも癖になるような、不思議な感じを受けました。 最近私は村上春樹の影響で、Jazzをよく聴いているのですが、島口さんの文章に何かJazzを感じました。最近聞き始

          島口大樹作『鳥がぼくらは祈り、』を読んで

          カズオ・イシグロ作『わたしを離さないで』を読んで

          『わたしを離さないで』は私が初めて読んだカズオ・イシグロさんの作品です。 大江健三郎さんの作品を読んで、ノーベル文学賞ってすごい。めちゃめちゃ面白いと感じていました。 もっとノーベル文学賞って政治的なメッセージがあったり、歴史を扱っていたり、とりあえずなんだか難しい小説がもらっていると勝手に思い込んでいました。 大江健三郎さん以外のノーベル文学賞をもらった作家さんの本を読んでみようと思いました。 カズオ・イシグロさんのことは、ニュースなどでなんとなくは知っていましたの

          カズオ・イシグロ作『わたしを離さないで』を読んで