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ジョージ・オーウェル作『1984』を読んで

猛烈な暑さが少しずつなくなり、夜は冷え込むような時期になってきました。
私は、この日夜の寒暖差からか体調を崩し、咳が止まらない状況です。

そんな体調の中、ジョージ・オーウェル作『1984』を読んでみました。
(最近は読んだ本について、なるべく早く感想をnoteに書こうとしています。)

この本に出会ったきっかけは、まず新聞で紹介されていたのを目にしたからです。加えて、太田光『文明の子』の後書きにも紹介されていたと思います。

また私が好きな映画に『マトリックス』と『ブレードランナー』があり、これらの作品のWikipediaにも、『1984』についての記述がありました。

カズオ・イシグロ作『わたしを離さないで』がある部分では「ディストピアSF」と分類されるという情報をインターネットで見て、他に「ディストピアSF」には何があるのかと思い、調べていくとやはり『1984』が挙げられていました。

おそらくSF小説の中でも、かなり有名な作品なんだろうと思い、読んでみることにしました。

私はSFという世界観は好きなのですが、SF小説には若干の苦手意識があります。
以前、カート・ヴォネガット作の『タイタンの幼女』を読もうとして、途中挫折した経験があります。(爆笑問題の太田光さんが好きな小説だから、自分も好きになりたいと思っていたのに、ストーリーがわからず、横文字の登場人物が分からず、挫折しました。いつかまた挑戦したいです。)

さて、読んでみた感想なのですが、
なんだかずっと説教されている気がしました。

というのも、ストーリーが<思想警察>など、いかにも現実世界に実現しそうな内容という点が影響しているのだと思います。

世の中的には、正しいもの以外は存在する意味なし、間違った思想は矯正するべしという雰囲気を感じますし、
それが『1984』の中では、誇張されているので、ううう、、、と苦しい感情になってきます。

(先日、あるBarに行った際に、そこの常連さんは、
自分がこれまで行なってきた不倫、悪行などを非常に楽しそうに、そして周りのお客さんに向かってもセクハラ気味に話していました。
私は、少し嫌悪感を抱きましたが、それよりもまず驚きました。
このセクハラ・パワハラが厳しい時代にこんな自由な会話を久々に聞きました。その時に、普段、私が生活してる清潔な空間がいかにコントロールされた、言えば、つまらない空間なんだと思いました。
もちろん私は、セクハラ・パワハラ・不倫を肯定しようとしているではありません。
ただ、衝撃を受けたという話です。)

内容は<思想警察>や<ダブルシンク>、<歴史修正主義>などをめぐる政府と反政府勢力の争いを大きくは描いているのですが、
途中から主人公がある女性と不倫をしていきます。

その描写が妙にリアルで、やめられない不倫という行為を垣間見ました。

おそらく不倫という行為は、この『1984』において、理性と人間的な感情の衝突の結果、人間的な感情が勝利する、代表的な行動として描かれているのだと思います。

不倫という行動は、私には今は分からない現象ですが、いつか身に迫る問題となる時が来るのかもしれません。
結局、主人公は不倫から、身を滅ぼしていくのです。
この事実も、どの世界線でもやはりそうなのかと理解しました。

いくつか心に残った表現があります。

「過去を支配する者は未来を支配する。
現在を支配する者は過去を支配する」
は特に考えさせられました。
(私は最近、歴史修正主義について考えることがあります。大江健三郎の「ヒロシマノート」を読んでいます。
職場である人から現実から一歩引いて、世の中の流れを冷静に見極める力、「魚の目」を持ちなさいと言われたことを思い出します。)

主人公が思想警察達、政府側に拷問され、
「2+2=5」であると信じ込もうとするところも印象に残ります。
私にも受け入れ難い現実を、どうして素直に私は受け入れられないんだと、自分にがっかりすることがあるからです。

傑作と呼ばれる『1984』を頑張って読んだので、
これで少しはSF好きの人とお話しできるかもしれません。



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