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BtoBマーケティング設計の基本について(後編)

こんにちは。今日は「BtoBマーケティング設計」の後編について書いていきます。
前編については、以下からご確認いただけます。

前編では主に、マーケティングとはなにか、マーケティングの基本、マーケティングを始めるためにまずやることについお話しました。この後編では、より実践的に、BtoBにおける製品・サービスの差別化と成長の視点、カスタマージャーニーマップの活用、KPIの設定と予算の策定について話していきます。


製品・サービスの差別化と成長の視点を持つこと

前編で解説したマーケティングを始めるためにまずやることして、「何を」「誰に」を明確にするためにペルソナを作ってみましょうと説明しました。
「何を」「誰に」提供するかを明確にしたら、次に「どのように」提供するかを考える必要があります。企業や組織のマーケティング部門では、この「どのように」が役割の中心になることが多いですが、その前提として「提供価値」「誰に」「何を」を常に意識しておくことが大切です。特にBtoBでは、マーケティング部門が見込み顧客に接触してから実際に受注するまでの購買プロセスが複雑で、通常のリードタイムが長いため、戦略的なマーケティング設計が不可欠です。営業部門との連携や、購買プロセスを意識して、「どのように」提供するかを明確にしていく必要があります。これを怠ると、施策が単発的になり、マーケティングの取り組みに一貫性がなくなるリスクがあります。

「どのように」を考えるうえで、まず実施したいのが、他社と異なる「優位性」や「独自性」、市場での「必要性」や「成長余地」などの理解です。これらを把握するためのフレームワークとして、3C(顧客、競合、自社)、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)などがあります。自社の強みを明確にし、ターゲット市場のニーズに合わせた価値提供を戦略的に計画することが求められます。

3C分析の考え方まとめ
STP分析の考え方まとめ

カスタマージャーニーマップの活用

自社・市場・競合を理解したら、次に作りたいのが、カスタマージャーニーマップです。その際には、ぜひ4P(製品、価格、場所、プロモーション)の作成も視野に入れておきます。カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを知り、購入し、利用し、その後の体験を誰かに共有するまでの一連のプロセスを視覚的に表現するものです。

4Pの考え方まとめ

BtoBでは、複数の意思決定者や長期間にわたるリードタイムがあるため、カスタマージャーニーの各段階での接触ポイントを明確にすることが重要です。そしてこれを用いることで、顧客の行動や心理を時間軸に沿って理解し、どのタイミングでどのようなマーケティング施策を展開すべきかを明確にすることができ、4Pの作成も可能になります。

さらにBtoBでは、マーケティングからセールス、導入後の伴走支援まで、それぞれリードジェネレーション、リードナーチャリング、セールス、カスタマーサクセスと、プロセスを分けて管理するTHE MODEL型のフレームワークを採用する企業が増えています。BtoBのビジネスプロセスは、マーケティング部門だけで完結しないため、リード(見込み顧客)獲得後に営業がどのような販売活動をするかを営業部門に確認しておくことも必要です。特にBtoBは営業との連携が強く求められます。また、施策の実行やそれらを統合的に管理するツールとしてマーケティングオートメーションやSFAの活用も視野に入れておくとよいでしょう。よりマーケティング部門と営業部門と活動がシームレスになります。

最近では、顧客の行動が多様化し、BtoBでもパーソナライズされたアプローチを求められることが増えていますが、まずはカスタマージャーニーマップを作成し、それを基に各施策をパーソナライズしていくのが良いと思います。

カスタマージャーニーマップの作成例ですが、ある企業向けのITソリューションプロバイダーの場合、ターゲット顧客が製品を知るきっかけとして、Webコンテンツの閲覧やウェビナーへの参加、展示会、業界誌などが考えられます。その後、企業のWebサイトで詳細な情報を収集し、デモや無料トライアルを通じて製品の有効性を評価するという流れが一般的です。導入後には、継続的なサポートやトレーニング、利用促進のための施策が必要となり、リピートや顧客のアップセルを狙った取り組みが行われます。最近はサブスクリプション型の契約が増えており、その契約にサポートやトレーニングが含まれていることが多いです。

ある企業向けのITソリューションプロバイダーが考えるカスタマージャーニーマップのサンプル

KPIの設定と予算の策定

ほとんどの企業や組織の最終目標は、売上や利益の創出です。非営利の組織も存在しますが、多くの場合、ゴールとなるKGI(Key Goal Indicator)は売上や利益に関連します。このKGIを達成するための中間指標がKPI(Key Performance Indicator)であり、マーケティング部門が主に担うKPIが、BtoBであれば、リード獲得数や見込み顧客からの引き合いの創出、営業への有効な引き渡し数、商談成立数などがあげられます。

そのKPIを達成させるために、さらに各施策に応じた具体的なKPIを設定します。その際に活用するのが先に作成したカスタマージャーニーマップで、見込み顧客の認知獲得から導入意思決定に至るまでのプロセスにおける施策に設定していきます。そして、それぞれのKPIを達成させるために必要な予算を算出していきます。

BtoBでのKPIサンプル

終わりに

マーケティング設計に必要な基本的な要素について説明しましたが、今回の内容がマーケティング設計に必要なすべてではなく、他のアプローチ方法も存在します。特にBtoBのマーケティングでは、複数の意思決定者が関与するため、それぞれのニーズに対応した戦略が求められます。本記事が初めて取り組む方の参考になれば幸いです。

なお、今回の話を端的にまとめると、以下になります。
・マーケティングを始めるには、まずは「何を」「誰に」「どのように」
・製品・サービスの差別化
・カスタマージャーニーマップの作成
・KPIと予算決め

今後もBtoBマーケティングの役に立つ情報をまとめていきたいと思います。

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