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11月9日(日記)感情に距離を置く

ただただイチョウの紅葉が美しい。

雑誌の類いは、まったくといって手に取らないが、唯一定期購読している雑誌に、「芸術新潮」(新潮社)がある。それこそ、一ページ目から、最終ページまで隅々まで目を通している。

絵を描くのが死ぬほど下手だが、見るのは大好きな私は、美術系の知識や情報は、だいたいここが入手元になっている。

今月の特集は、養老孟司さんであった。絵本作家のヨシタケシンスケさんを初めとするお三方とのスペシャル対談も面白かったが、
その中で、新潮社の足立真穂さんによる「養老孟司解剖の図」の中の一文が印象に残った。

養老孟司さんが、ほとんど怒らないということに言及すると、
「感情という存在に距離を置こうとしてきた。自分のものにも、他人のものにも・・(中略)。」意識的に怒りスイッチにエネルギーがいかないようにしているらしい。

芸術新潮11月号(新潮社)

1度はすっと読み過ぎたが、後から、おい待てよ、「感情に距離を置くって」ことは、実は、とても大変なことなんじゃないかと思えてきた。
それは、人の身体をそれこそ客観的に見てきた解剖学者だからできるのか、はたまた訓練として課したきたからできるのか。結構どころか、かなりハードルが高いような気がしてきたのだ。

少し、話がずれるが、哲学者池田晶子さんのお父上が、大手新聞社の論説委員を務めていたらしく。あるときから、社内で働いているときは、一切怒るのを辞めたという。その理由を娘の池田さんが聞いたところ、「知性が摩耗する」との答えが返ってきたらしい。

つまり、このお二方に共通するのは、「感情」、その中で特に「怒り」を避けるのは、自分を一番消耗させてしまうということを言いたかったのかもしれない。
すでに、「アンガーマネジメント」という言葉も一般化したが、それは、つまり自分を守ること、他人に迷惑をかけないためではなく、自分を守るためなのだと。

ただ、クリエーターにとって「感情に距離を置く」ことが、果たしていいことなのか、わるいことなのか。
岡本太郎さんが言う、「芸術は爆発だ!」の方が、何となく正しいような気もする。難しい。

何となく 気持ち澄み切り 秋深む






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