古代ローマの自己啓発note!マルクス・アウレリウスの『自省録』
この記事をご覧くださり、誠にありがとうございます。
今回から何回かに分けて、マルクス・アウレリウスの『自省録』を取り上げてみたいと思います。
実は、ずーっと気になっていて、超訳版の文庫本をgetした私。
するとなんと!マルクス・アウレリウスがnote的機能として自省録を書き進めていたことが分かったんです♪
『哲人皇帝』と呼ばれたマルクス・アウレリウス
マルクス・アウレリウス・アントニヌスは、紀元2世紀に生きた実在するローマ皇帝です。
古代ローマにおける「五賢帝」の最後に数えられ、『哲人皇帝』とも称されています。
五賢帝とは、古代ローマ帝国において善政を施し、国の最盛期を作り上げた皇帝たちで、ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウス、マルクス・アウレリウスと続きます。
ローマ帝国の領土拡大が一種の集大成を迎え、帝国始まって以来の平和と繁栄が訪れた200年間で、パクス・ロマーナ(ローマの平和)といわれる時代です。
『自省録』の生まれた時代
マルクス・アウレリウスは、五賢帝の最後に名を連ねる人物ですが、39歳で即位した時には、すでにローマ帝国の衰退の陰が忍び寄っていました。
洪水・大地震などのあいつぐ天災、感染症(天然痘)の蔓延。
東方では大国パルティア王国と戦い、北方からは蛮族ゲルマン人の侵攻、シリア属州での将軍の氾濫など、問題は山積みです。
本当は哲学者になりたかったマルクス・アウレリウスですが、問題解決に奔走し、朝から晩まで激務に追われていました。
特に、北方から帝国を脅かすゲルマン人との戦闘では、最高責任者が「現場」にいることで、士気が向上するだろう、という信念のもと、戦地で過ごす日々。
とても誠実で真面目な性格なんですね。
平和愛好家であったにもかかわらず、皮肉なことに、晩年の10年間の大半を戦地で過ごすことになりました。
『自省録』とは自己内省の記録
そんなマルクス・アウレリウスが、前線であるドナウ河畔の陣中で書き進めていたのが『自省録』。
とても戦地で書かれたとは思えない自己内省の記録です。
『自省録』は日本での題名ですが、原題はギリシア語で『タ・エイス・ヘアウトン』、「彼自身のために」という意味です。
つまり、書いた当時のマルクス・アウレリウスは、この内容が人目に触れることは考えておらず、あくまでも自分自身を鼓舞するために書き進めていた、と思われます。
マルクス・アウレリウスが朝晩の瞑想のなかで自らを省み、就寝前の瞑想における自分自身との対話を、メモとして書き残したのが『自省録』。
そのため、英語圏では『Meditations』というタイトルで普及しています。
『自省録』はマルクス・アウレリウスの自己啓発「note」!
さて、賢明なnoterの皆様ならお分かりかと思いますが、『自省録』とは、古代ローマ皇帝の就寝前の自己啓発「note」なんです!
昼間は激戦地において、母国語のラテン語で将兵を鼓舞しつつ、夜はギリシア語で『自省録』を書く。
マルクス・アウレリウスはある意味では、「二つの世界」に生きていたとも言えます。
哲学者志望だったマルクス・アウレリウスにとって、戦地での荒々しい日常以外にも、『自省録』で自分の内的空間を確保することが、生きる意味に繋がっていたのでしょう。
結果として、皇帝としての実務や戦地の功績よりも、『自省録』が彼を有名にしたのも歴史の不思議なところですね。
なぜこの『自省録』の記録が残り、伝承されてきたかも定かではないそうですが、きっとこの内容を読んだ方の中に、後世に残すべきだ!と強く感じた方がいらっしゃったのでしょうね。
「書く」というセラピー
『自省録』は、就寝前の瞑想において、「書く」という作業で自分の心の整理を行っていた「瞑想記録ノート」です。
「書く」という作業は、「スピリチュアル・エクササイズ(精神修行)」として実践することも出来ます。
皆さんが日記をつけたり、noteで心の中に去来する思いを吐き出す、などの作業も全て、心のデトックスとして使うことが出来るわけです。
もちろん、不平不満ばかりを書き連ねることはマイナスになるので、自分にとっても、周りにとっても良い事ではありません。
自分としてはこのように前進していきたい、未来はきっと明るい、努力あるのみ……!
このように自分を省み、鼓舞する内容を書き留めることによって、心が整理され、毎日の活力につながっていくことも考えられます。
マルクス・アウレリウスは就寝前の瞑想で自分の一日を振り返り、自問自答し、自分を戒め、自分を叱咤激励していきます。
この作業を通して、悩み多きマルクス・アウレリウス自身の心も癒され、日々を新たに進んでいくことがでいたのだと思います。
ストア派哲学の『自省録』は、日本人になじみ深い!
ストア派哲学をベースにしているマルクス・アウレリウスの思想。
彼の時代は、キリスト教が公認される以前の時代で、『自省録』にキリスト教の影響はありません。
キリスト教以前のストア派哲学に元づく「実践哲学」にも関わらず、西欧のキリスト教社会で受け入れられてきました。
その内容が宗派の違いを超えて、学ぶべきことがあるとみなされてきたからでしょう。
『自省録』の内容は、日本人が慣れ親しんでいる思想を含んでいます。
たとえば、「無常(すべてのものが瞬間的に変化している)」や「縁起(すべてがつながっている)」を説いた仏陀の思想にも通じます。
また、老子や荘子の老荘思想が説く「タオ(道)」にも通じます。
さらに、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という「葉隠」の思想を想起することもできます。
そのため、哲学というと敬遠しがちな方でも、『自省録』(特に超訳版)は読みやすいかもしれません。
古代ローマの思想でありながら、仏教や道教、武士道の香りを感じさせる、日本人にもなじみ深い内容なのです。
『自省録』全体のメッセージとは?
「人生はほんの一瞬の出来事にすぎない。だからこそ、いま現在を真剣に生き抜くことが大切だ」
これが『自省録』全体を貫くメッセージと言えます。
すでに過ぎ去った過去や、いまだ不確かな未来に捉われるのではなく、大切なことは、一日一日を精一杯生き切ること。
マルクス・アウレリウスの生き切った証である『自省録』であるからこそ、その言葉は身に染みるものがあります。
超訳『自省録』より15選!ちょっとだけ内容をチェック!
大変もったいぶったところで、マルクス・アウレリウスの『自省録』の超訳版から、気になる言葉を一部ご紹介しましょう!
『超訳版』は確かに超訳なのですが(笑)、抽象的な内容に見出しが付けられ、より具体的・実践的な内容に感じられるという意味で、現代人には合っているかもしれません。
本格的には次回から取り上げますので、お楽しみに☆
【超訳『自省録』より15選!】
人生最後の仕事であるかのように取り組め
心を乱されるな
人間の一生などほんの一瞬だ
過去を知れば未来は予見できる
運命がもたらすものを歓迎せよ
自分のなかに泉を掘れ
不幸になるかどうかは自分次第
障害を燃料にして燃え上がれ
感謝の気持ちで振り返れ
他人に振り回されるな
きょうできることは先延ばしするな
人間は耐えられるように生まれついている
心のなかでも不平不満はもたない
人生の目的を明確にせよ
死ぬことも人生の行為の一つだ
ほんの一部ですが、詳しく学びたくなるような言葉ばかりですね!
古代ローマ皇帝の智慧を現在でも学べることに感謝しつつ、今を生き抜いていきましょう☆
最後までお読み下さり、ありがとうございました!
※自己紹介とサイトマップをつくりました♪
今までの全記事一覧も載せていますので、よかったら参考にしてみて下さいね!
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