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読んでいる本の話・レイモンドカーヴァー
たまには本の話を。
レイモンドカーヴァーの傑作選を古本で買って読み始めた。彼は短編小説で有名なアメリカの作家。
アメリカの作家の本はほとんど読まない。何度もトライしてきているけれど、やっぱりアメリカのカルチャーや、書き手の育った環境がわたしのものと違いすぎるからか、読んでいてもイマイチフィットしないのだ。うまく共感できない、といってもいい。
そんなわたしは大学で英米文学専攻だったけど。卒論はカートヴォネガットで書いた。それも難しかったよ。
でも大学の授業で、いちどレイモンドカーヴァーの「大聖堂」を取り上げていたものがあって、そのときに、面白いな。と思った。
ふだん読んでいる村上春樹が翻訳しているから、馴染みやすいのも大いにあるんだろうけど、それ以来レイモンドカーヴァーは好きだ。
電子書籍にはなかったので、滅多に買わない紙の文庫本を買った。いま2つめの短編を読み終えたところで、良い感じだ。
彼の話にはあまりドラマティックなことは起こらない。ドキドキハラハラする起承転結はない。日常のささいなワンシーンを切り取って、登場人物の心の動きを細かく描写してる、って感じだ。憂鬱なトーンの作品も多い。
でもわたしはそのリアルさが好きだ。人生って大半が退屈で、灰色の日常の連続で、憂鬱なことの積み重ね。ドラマティックな展開も、夢みたいな出会いもほとんど起きない。
しかし、その日常で出会った人が、どんな風景を見てどんなふうに感じて、昨日のディナーは何を食べて、散歩した道でどんな花が咲いているのを見つけたのかを、わたしは知りたい。だから人の文章を読む。
そんな感じだ。
明日は歯医者に出かけるので憂鬱だけど、この文庫本を持っていったら少しは楽しく過ごせるかもって思う。歯医者では、歯を削りますとか、神経を抜きますとか、それこそカーヴァーの小説の出来事みたいに憂鬱な展開になるかもしれないけど。
話は変わるけど、アメリカの小説を読むために、この本を買った。ざっくりいうとアメリカの州ごとの特徴をまとめて、イラストでわかりやすく解説してくれている本。
まだ1/4くらいしか読めていないけど、いまのところいい感じ。正直、日本生まれ日本育ちのわたし、ハワイとかグアムは行ったことあるけど、地理と政治にはめちゃくちゃ疎いので……。小説を読むのは好きだけど、せっかく海外文学を読んでも、その土地にどんな特徴や名産があって、どんな人々がどんな暮らしをしているのか、全くイメージできていなかった。
でもこの本を参考書みたいに傍に置いてアメリカ文学を読めば、すこし理解が進む気がする。
いまのところ買って良かったと思う。ちなみに翻訳家でエッセイストの岸本佐知子がおすすめしていた本です。
最近読んでいる本はそんな感じ。相変わらず江國香織と村上春樹ばっかり読んでいるけど、世の中には溢れるほど作家がいるのだから、そろそろ次のとびっきりのお気に入りに出会いたい。でも、それがなかなか難しい。
もう少し元気になって、暖かくなったら、図書館に通う頻度も増やしたいと思う。できるかわかんないけど。たまにはリハビリに外出して、外の世界に慣れなくちゃ。
でもカーヴァーの傑作選を買えたのはよかった。ずっと気になっていたから。一歩前に進んだ。