みんなで決めて成果を出すには?
先日お話を伺ったお客様は、社長から経営幹部で色々なことを決めて動きなさいと言われているそうです。しかし、それぞれ支店ごとに状況も違うためなかなか一つの意見にまとめられないという話をされていました。
メンバーで目指す時間軸と判断軸を聞いてみた
社長がご高齢ということもあり、今後の運営はこのメンバーで担ってほしいということのようでした。
とりあえず会社で示されているミッション・ビジョン・バリューを確認してみて、話としては繋がっていることは理解できました。
しかし、ビジョンが遠い先の未来になっていてみなさんピンとこないというので、まずはこのメンバーで考えられる「時間軸」を揃えて、その時間が経過した時に達成したいビジョンの共有を行い、達成するために大事にしたいことを確認してみました。
言葉にしてみると、そういうことを意識していたことがわかったので納得はしやすいとのことでした。
メンバーの年齢差は多少あるのですが、意見はそれぞれ出せているようなので、ある程度話し合いはできているのだと感じました。
決め方がわからない?
ここまできてある本を思い出しました。
立教大の中原先生が書かれた本で、読みやすい本です。
話し合いには最初に「対話」が必要で、対話とはどういうものかということが213ページに記載されています。(ここでは省きます)
実はその後に個人的には大事だなと思うフレーズあります。
よい話し合いとは、
「私(I)は~と感じる」を表に出し合う「対話」のフェーズ
そこから「私たち(We)は~したい」を決める「決断」のフェーズ
そして決断したことを「実践すること」であり、
ここまでできて初めて成果が出る
と書かれています。
対話は大事だと言いますが、対話だけして満足してしまってもそれは意味がないのです。決断して実践することまでがよい話し合いと言えるのです。
本には決断のルールというのがまとまっています。(226ページ)
1.メリット・デメリットを明らかにする
2.多数決に安易に逃げない
3.「誰が決めるか」を決める
4.「いつ決めるか」を決める
5.「どのように決めるか」を決める
詳細は本を参照してほしいのですが、この中でも印象に残ったのが、
「誰が決めるか」を決めるということです。
耳の痛い話ですが、意外と「誰が決めるかを明確にしていない」と書かれています。その理由は「責任を取らされるのを恐れているから」
メンバーが決めることが民主的ですが、それは同時にメンバー自身が責任を取ることであるということが曖昧になっています。
意見は言いたいけど責任は取りたくない。そんな話を何度か聞いたことがあります。
会議で結論が出ない理由もここにあるのではないかと思いました。
どのように決めるか?
先ほどのお客様のメンバーに「決め方を決めましょう」と話したらポカンとされました。
「多数決じゃないの?」
「ダメっていうわけじゃないです。事前に多数決で決めるってみなさんで合意して議論するならいいです」とお伝えしました。
これも本の中に
1.全員で合意する
2.多数決
3.多段階での多数決
4.スコアで決める
5.評価で決める
とあります。(詳細は本を参照してください)
安易に多数決に流れるのではなく、事前にどういう決め方をするのか決めておくということです。
「決める」に正解はなく、あるのは納得度だけです。前もってどういうふうに決めるのかメンバー間で合意を取っておくことが必要なのです。
一番大事な「自発的フォロー」
ここまで準備しておいた上で、一番大事だなと思ったのが
アクションを起こすためには
自分と違う意見が結論になったとしても、
納得して自発的に貢献することが必要
ということです。
これが
ルールとして全員に共有されていないと話し合う意味がない
(成果は出ない)
とありました。
厳しいけれど本当にそうだなと思ったフレーズです。
こちらのお客様は社長の次に責任を持っている人たちなので、責任を取るということはできると思いますが、合議制をするのであればこの部分をしっかり理解してもらう必要があると思いました。