【読書録】方舟
はじめに
今Twitterで話題になりまくっている「方舟」を読みました!近くの本屋さんではもう置いていなかったので、電子書籍で購入してしまいました、、、
とにかく読んで体験するしかないというTLばかりだったので、ワクワクした気持ちと本当にそんなに面白いのか?という疑いが半分半分で読み進めまさた。
読み終えた感想としては、、、
今まで読んだことのないタイプではあるけど、ここまで騒がれるほどか?という感じでした。
とはいえ話題作なので、感想はまとめておきたいと思います。※多少のネタバレはご容赦ください。
圧倒的閉塞感!
本作は典型的なクローズドサークルものです。山にキャンプに来ていた主人公たちが、山奥で見つけた反社会的勢力が隠れ家にしていたと思われる地下施設に閉じ込められます。そして脱出するためには誰か一人を犠牲にする必要があります。
そんな状況で連続殺人事件が発生します。もちろん犯人は閉じ込められているうちの誰かです。しかも地下施設は浸水が進んでおり、1週間後に水没するというタイムリミット付きです。
この閉塞感と緊迫感は今まで読んできたクローズドサークルの中でもトップクラスだと思います。読む人によっては読み進めるのが大変かもしれません。
「状況」にのみ重心を置いた作品
先述の通り、本作の魅力はクローズドサークルの圧倒的な閉塞感と緊迫感にあると思います。
タイムリミットがあり、1週間以内に犠牲にする人間を決める必要がある。その状況で殺人が起きたため、当然犯人を暴き犠牲になってもらうという流れになります。
ただでさえ気が狂いそうな状況に加え、今一緒にいる人の中に殺人犯がいるという、てんこ盛りな状況設定が秀逸だと感じました。
反対にそこ以外にとても魅力的な要素が特別ないというのが、本作の特徴だと思います。
名探偵や個性的なキャラクターは登場せず、探せばほとんど特徴が一致する人が見つかるのではないか?というくらい普通の人たちです。(探偵役のキャラクターはいます)
ありえない状況に巻き込まれた人間の心境と弱い部分が描かれてはいるのですが、そこまで感情移入できるような書き方ではなかったと感じました。良くも悪くも状況設定を重きを置いている作品だと思います。
アンチミステリとも取れるのか?
典型的なクローズドサークルものにも関わらず、名探偵が登場しないことや閉じ込められている施設についてそこまで深い説明がありません。
この点を踏まえると面白いミステリに必要なのは状況設定だけで十分だ!という意図があるのではないかと思いました。個人的にはクセがあるのにどこか憎めない感じの名探偵が大好きなので、好みではなかったです。
今まであまりミステリを読んで来ていない人の方が楽しめる作品だと感じました。
さいごに
少し辛口気味の感想になってしまいましたが、読み終えたときの何とも言えない感覚は他の作品では中々味わえないと思うので、未読の方は是非読んでみてください!
このような作品が書ける著者の実力は本物だと思うので、別の作品を読んでみます!
最後まで読んで下さりありがとうございました!!