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書籍「心の傷は遺伝する」解説-02

マーク・ウォリンさんのこの書籍では、阿含宗の教義でいうところの「霊障」と「怨念」という概念を、心理学的な言葉で説明しています。
単語が異なるだけで意味するところは同じという

阿含宗の最も核となる教義に「霊障れいしょう」の存在があります。
霊障というのは、うらめしや~~~って幽霊が出てくる現象ではありません。
霊障とは、他者の魂の欠片がトゲとなって自分の魂に突き刺さった状態のものを言います。このトゲは本能レベルで人としてのあらゆる出来事に対して誤作動を起こします。具体的は恋愛・友情・職業・病気・死に方にといった人生のほぼ全ての出来事に強い影響を与えます。

そして魂のトゲである霊障は、いったいどこから来るのかというと、両親、祖父母、曽祖父母の代の親類縁者が非常に多い。彼らが死の間際に残した「怨念」が我々の魂に突き刺さる。「怨念」というのは、誰かを恨む気持ちだけではなくて、つらい病気で苦しみ死ぬ間際の苦痛であったり、自分の人生に対する後悔も含みます。そういう負の感情の魂のエネルギーが子孫の魂に突き刺さる。これを阿含宗では「霊障」と呼んでいます。

さて、マーク・ウォリンさんの書籍を引用します。

私が自らの経験や、研修及び臨床から学んだ事は、答えは、自分の人生にではなく、両親や祖父母、ときには曽祖父母の時代にあると言うことだ。
新聞を賑わしている最近の科学的研究も、トラウマが世代から世代へ継承されることを語る。このような負の遺産は、「トラウマの世代間連鎖」と呼ばれ、最近見つかった証拠は、それがまさに現実の現象であることを示唆している。痛みは時とともに消えていくわけではない。トラウマに苦しんだ人がこの世を去り、その人生が忘れられた後も、その人の心や体に刻まれたトラウマは生き続ける

心の傷は遺伝する P.7

前段のボクの説明と同じことを、言葉を変えて述べていることがわかるでしょうか?

他者への恨み、病苦、失敗した人生への後悔が、死の間際を迎える本人の心の傷・トラウマとなるのですが、本人がこの世を去り、その人生が忘れられた後も、その人の心や体に刻まれたトラウマは生き続け、阿含宗が「霊障」と呼ぶものを「トラウマの世代間連鎖」と呼んで、世代から世代へ継承されると言っているのです。

現在、精神分析療法の新たなトレンドは、個人のトラウマだけでなく、家族史や社会の歴史におけるトラウマ体験を全体図に含める方向に向かっている。育児放棄、自殺、戦争、子供や親兄弟の早世といったタイプも程度も異なる悲劇が、ある世代から次の世代へ、さらにまた次の世代へと、苦悩の衝撃波を送ることがある。

心の傷は遺伝する P.24

死者の「怨念」が子孫に伝わって「霊障」となるというのが阿含宗の説明ですが、マーク・ウォリンさんは、阿含宗の「怨念」という言葉を「苦悩の衝撃波」という言葉で表現しています。
この素晴らしい表現にボクは驚きました。本当にその通りの表現です。

また、ここで非常に興味深いのは、社会の歴史におけるトラウマ体験、例えば戦争という説明をしていることです。これは欧米においては第二次大戦のナチスによるユダヤ虐殺もあるけれど、近年アフリカで発生した大量虐殺事件、2001年の米国の同時多発テロ事件から数年立って生まれた子供世代が不可思議なトラウマを持っていることに気づいた心理学者さんから出た見識であるとのことです。

先走っていうと、社会の歴史におけるトラウマを解消するための阿含宗の活動の具体例が下記のリンクの内容だったりします。


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