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『母という病』岡田尊司 感想

本の感想書くの久しぶりです。
というのも、他の本を読んでいたのを読みかけで中断したり、何よりもコーチングのことを考えたり、やったりしていて時間の配分が全然できてなかったからです。

『母という病』岡田尊司 ポプラ新書
¥890+税

なかなかどきっとするようなタイトルの本です。
この本はすすめてもらった本で、『父という病』という本もあります。

あなたの人生を見えない力で支配する。まるで呪いのように。
と表紙にあります。魔法じゃなくて、呪いです。

私は無意識に母との関係について見ないようにしてきていた、と今は思います。
それに不健全さを感じたのは、自己肯定感について考えた時で自己理解プログラム(八木仁平さんのされている100日間で自分のやりたいこと探しを終わらせるプログラム)でそれを扱った時だと思います。
私は母を支えないといけないという思い込みがあり、またそれに息苦しさを感じていたのに、母親の価値観に反することはできない自分がいることにも気づいてもいたのに、そこから出ようとしていませんでした。

母親に反対されると、自分を貫いてやるってことができませんでした。
できている時もありましたが、やはり一緒にいることのデメリットの方が大きかったと思います。

さらに、コーチングを学んだことで
「私は鳥かごの中の鳥で、けれど扉は開いていて、いつでも出られるのに出ようとしていません」って話したことが私には今でも残っていて、これが端的に私の状態を表していたと思います。

では、本の感想を書きます。
まず、ことさらに自分の幼少期や母親との関係に何か問題があると思っていなかったら、この本を読むことはなかったと思います。今でもそんなに大きな問題だったとは思っていなかったな、と思います。

現に、私の場合は親に愛情を注いでもらっていたという理解があったし、子どもが親を支えたい、支えなければと思っていることにも疑問はなかったです。うっすらとは母親の存在や関係に何かしんどいものを感じていて、それが認識されたことで、向き合うことが必要だと感じることができるようになりました。

致命的な分かりやすい母子関係の問題がない人にもこの本は必要だと思います。私は、子どもの頃の私が孤独を感じていたというのは分かっていて、それが尾を引いている、私の今の人生や人間関係に影響を与えているなんて思っていませんでした。

なので、曇りなく今の親子関係や他の人間関係が幸せだよって言える人以外の全ての人がこの本を読むと何らかの今の人間関係における生きづらさを読み解くヒントを得られると思います。

あらゆる母子関係の具体的ケースが参照できる。
これがこの本の最大のメリットだと思います。なので、悲劇的な母子関係もたくさん紹介されているのですが、何かしら自分と近い、これ私だと思う重なる母子関係が見つかると思います。
私もそんな風に振る舞っていたし、そう思っていたな、と共感できました。

そして、いかに子どもにとって母親の存在が大きいものであるかを初めて理解しました。赤ちゃんにとって母親の存在がとても大きくて重要なのは分かるけれど、成長してもたとえ成人しても母親の存在の大きさは簡単には変わらないと思いました。
特に愛着形成に問題があった場合には「人生を見えない力で支配する」という言葉のように影響は人生全体において作用し続けると思いました。

自分の問題だ、と理解していたことが母親との愛着形成やそこからの関係がうまくいっていないことが根っこにあるというのは、知らないままでいるよりも原因がはっきりするという点では、この本を読んで肩の荷が下りるような気持ちになりました。

母親にも母親・父親がいて、私と母の関係の前に母と祖母の関係がどうだったかも影響してくる。
これについては少し考えたことがあって母にも母(私から見ると祖母)がいてそこでの関係を生きてきているから、その影響はある。
私の目からしか見ていないからどうだったのかは分からないけれど、母が幼い頃に離婚していて、祖母は苦労も多かったと思うので母の幼少期に愛情をたくさんもらって健やかな母子関係ができていたのかというと違うのかもしれない、影響は及んでいると改めて思いました。

精神的に愛情という点だけで満たされないことがあらゆる人生における場面に影響してくるだけでなく、生理的にも発達において影響があると書かれていて、いかに母親という存在が大きいものかが痛感させられました。
記憶にない位幼い頃に母親と安心できる関係で愛情をかけられたか否かが、老化の速度やストレス耐性、うつのなりやすさ、神経線維の走行や受容体の数といったレベルにまで影響がある、と書かれていて、抗えないなと思いました。

程度こそ違うけれど、「母という病」は皆が持っている持病だと感じました。

母親と私は違う人間で、幼少期のことなんか関係ないよ、もう大人だからそれは振り返らない。どちらかというとそんな立場でしたが、一度それにふれてしまうと、もう蓋をしていた頃には戻れなくて、この本を読んでるという状態です。

学びという観点からいくと、
母親が安全基地だったかどうかということについて、今までに聞いたことはあったけれど、それがきちんと理解できました。そして、私の場合は違っていたんだろうなと思いました。

理想の母親を私は最近作ったのですが、
その母親像っていつでも私のことを両手を広げて迎え入れてくれるっていう像で、イメージ的にはおいでってしてくれているんですよね。私はその腕に飛び込んで抱きしめてもらいたいし、頭を撫でてもらいたい。
これってやっぱり現実の母親に対してはそうは思えていなかったからだと思います。

克服する方法についても書かれています。
ここでの一番の学びは、時間がかかるということです。
私はコーチングで母子関係について2回ふれていて(それぞれ別のコーチと)、なりゆきで別々のコーチとふれたのですが、いずれもその1回で癒されるということはなくて、より可視化されて私は向き合うということが始まったと感じています。
早くこの気持ちと別れたい何とかしたいと思っていたので、時間がかかるということは何となく分かっていたけれど、ゆっくりやっていくしかないんだなということを本を読んで分かりました。

また、コーチングでふれる以前に私は物理的に離れるために1人暮らしを始めていて、これは病の克服の方法として合っているという答え合わせがこの本でできました。
距離を置くのは、私の場合は正解です。「一旦見切りをつける」と書かれていました。

克服方法について書かれていることの1つ1つが心に響いて、一気にやることは出来ないけれど、やろうとしていることもあって、克服できるという希望がこの本にはあるなと思いました。
言葉にすることが大切という方法も、コーチングで言葉にしているし、自分で書いてもいるので、良い方法なんだなと分かりました。ただ、出し切ることが大事みたいなので、少しずつで良いから出し切ることを念頭にやっていくのが必要だと思いました。
メンターさんが欲しいと思っているのも、母親との関係に1つ原因がありそうだ、と気づきました。安全基地たる母親が微妙だから代わりとなってくれる人が欲しい。
そうなってくれるパートナーに出会えた人は幸運だと書かれていて、私は心の底からはパートナーが欲しいとは思えていなくて、欲しいけど怖い気持ちがあって、それはそういう人がいると依存してしまいそうだと感じるというのが1つあるからです。

母親の影響が人生においてこんなにも大きくて、私は尾を引いていると表現していたけれど、尾を引くどころかあらゆる所で逃れられない無意識のうちに浸食されて影響されているということが分かりました。

母親を求める気持ちには抗えなくて、母という病を抱えることになるのも、何も母親のせいだけではなくて、そのさらに母親との関係、夫婦の関係、家族や社会のあり方も関わっている。

生きづらさという言葉にまでなっていなくても、
「ちょっと息苦しいんだよね、母親と関わるのが。」って思っていた私にとって、また幼少期の私が1人ぼっちでありのままを受け容れてもらえていなかったと感じていたことに向き合うことが始まってからのタイミングで読めたことは私にとって幸運だったと思います。

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