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マイクロノベル集「カンチガイに救われる」

マイクロノベルNo.2036
チチチ。鳥が鳴いている。変だな、こんな夜中に起きている鳥がいるなんて。「チッ」茂みの中で爛々と輝く瞳。チッチッと、それが舌打ちする。「カンのいいガキだ。オレを鳥と勘違いしたなら、一口で喰ってやったのに」次の日、ゴミ収集所が一つ、丸ごと消えた。


マイクロノベルNo.2037
夜明けがだんだん遅くなってジョンと歩く散歩道は真っ暗闇だ。「気をつけなさい。奴らは夜明けを夕焼けだと勘違いするからね」はあい。でも、奴らって誰だろう? 「おい、起きろ」「あ、日が沈む」ジョンが吠えて茂みに飛び込み、狐をくわえて戻ってきた。


マイクロノベルNo.2038
僕の妻のカンはよく当たる。急な雷雨。宝くじ。でも、一度だけ大ハズレしたことがあると、酔った彼女は語った。「神社に迷い込んだ猫がいて、もう死ぬから餌をやったら、生き延びた。仕方ないから飼っているけど、懐くと可愛いものだね」僕の喉は鳴らないよ。



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